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博士の愛した数式 [読書]

 小川洋子さんの「博士の愛した数式」(新潮文庫)を読んだ。小説を読んだのは久しぶりだった。 

 実はこのブログを立ち上げたばかりの頃、今年2006年の3月21日の記事(カテゴリは映画)にこの小説を原作とした映画(題名は同じ)に関する記事を書いた。(観てはいないけど面白そうだと書いただけだったけど) オイラーの公式を紙に書き、写真に写してアップしたりなんかもしたが、これは実は単にブログに写真をアップする練習だった。

 映画は結局まだ観てはいない。ただ文庫本はいつでも読めるようにと思って買っておいた。今日、時間ができたので読み始めたら、すぐに没頭してしまい2時間くらいで一気に読んだ。

 ミステリー小説のようなどんでん返しがあるわけでもなく、SF小説のような派手さもない。純文学として淡々と物語が進行していく。博士と家政婦とその息子の心のふれあいが温かい。

 ひとつだけ印象に残った場面を紹介しておこうと思う。家政婦の息子が博士の家で問題を起こし、仕事の依頼人である未亡人からクレームをつけられる場面。博士がその場でオイラーの公式を書いて去っていく。それで言い争いが収まってしまった。
 自然対数の底 e と円周率 π と虚数単位 i 、そして整数の1。一見全く異質なこれらの数字が美しく調和するこの公式に、博士が何をなぞらえようとしたのか、それは明らかなのだが、作中ではそれを言葉で敢えて説明していない。そこに作者の小川洋子さんの芸術性を感じた。

 良い作品だった。感動した。しばらくは余韻に浸れそうだ。

 


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