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ミンミンゼミ [雑文]

 会社で昼休みに、中庭の桜の木の下で一服するのが習慣になっている。季節の移り変わりを感じることができるこの場所は、僕のお気に入りの場所だ。

 夏になると、蝉の鳴き声を聞ける。先日、ミンミンゼミが木にとまって鳴いているのを見つけた。体の色が薄緑で、羽が透き通って光っている。こんなに綺麗だとは知らなかった。アブラゼミしか見たことがなかったから、蝉ってみんなこんなもんだと思っていた。

 こんな綺麗な蝉なら写真に撮りたいとずっと思っていた。でも、鳴き声が聞こえても、どこにいるのかわからない。大抵は、木のずっと上の方にいるらしくて、なかなか見えない。

 ところが、今日、とうとう絶好のチャンスがやってきた。木の幹の、手に届くような低いところに、そいつがいた。僕は「逃げるなよ」と言い残し、急いで事務所に戻って、愛用のデジカメをもって戻った。そいつは命じた通り、そこで待っていた。

 写真を撮りまくったので、出来のよいものを載せる。

 夏も終わりに近づき、命もあとわずかなのだろう。僕が近づいても飛ぼうとせず、よろよろと木の上の方に向かって昇っていく。下の写真は、上っていく様子。近くの小枝を基準に見ると、だんだん上の方に移動しているのがわかると思う。


 一体どこを目指して昇るんだろう。僕のような外敵から身を守るために、上の方に逃げていたのだろうか。もう飛んで逃げるだけの力は残っていないのだろう。渾身の力を振り絞って昇っているように見えた。もうすぐこいつは死ぬんだろうな、と思った。虫の命のはかなさを思った。


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