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MEの修理 [カメラ]

(続き)
 さて。やがてデジカメの時代になり、フィルム式カメラの役割も終わったかのような気がしていたが、Fさんのコレクションを見て、かつて夢中になった一眼レフをまた触ってみたくなり、引き出しの奥から出してみた。すると、MEはボタン電池が液漏れを起こして、金属部品に緑青が多少出ていた。しかも、シャッターを何度か切ったら、開いたまま閉じなくなってしまった。(MXは無事)

 さあ大変。こういうものを修理に出すと、何万円も取られる。30年位前のカメラだから、たぶんメーカーにも修理できる人なんかいないはず。(カメラは、長いこと使う愛好家がいるので、特に古いカメラは、その筋の修理の専門家がいて、あまりにも古くてメーカーが手に負えないものは、こういう修理屋さんに回されるのだそうだ)

 結局、イチかバチかで自分でやってみることにした。だいたい原因はわかっている。フィルムの巻上げのときに押すボタンが戻らなくなってしまったのだ。だから、下のカバーを開けて、戻らなくなっている原因(たぶん腐食で、滑らないといけないところが、滑らずにひっかかっている)を取り除いてやればよい。下の写真の矢印の部分が巻き上げボタン。

 小ねじを外し、下のカバーをあけると、途端に、シャッターが戻った。つまり原因は簡単で、カバーの、このボタンが覗く穴の直径が、腐食で小さくなっていて、ボタンと摩擦を起こしていたのだった。
 下の写真、一眼レフのフィルムの巻上げのメカニズムが見える。こういうもの、普通の人は滅多に見る機会がないと思う。カメラのメカニズムって、すごいものだ。

 カバーの穴をルーターのゴム砥石で研磨して、緑青を落とした。電池の液漏れのせいで、内部の腐食がかなりひどく、白い粉が発生していたので、これを丁寧に取り除いた。組み上げて、シャッターを切ると、何回かに一度、ひっかかりでシャッターが押せなくなったりしたが、何度も切っているうちに馴染んできて、、調子よく動くようになった。メカっていうのは、長いこと休ませたらだめで、たまには動かしてやらないとダメなんだということを改めて思った。

 それにしても・・・。このカメラ、すでにクラシックカメラの域に居るものだけど、いじっていると時間を忘れてしまう。カメラの愛好家は、実際に写真を撮っている時間よりも、空シャッターを切っているときの時間の方が長いのだそうだ。僕も実際そうで、いつまでもいじっていたくなる。こういう気持ち、最近買ったデジタル一眼レフでは起らない。

 この差は一体何か。結局、自分の操作に対して、「生きた」レスポンスを感じるかどうかの差なのではないだろうか。シャッターボタンを押したときのミラーの跳ね上がる「バシャ」っという音。巻き上げの音。持ったときの重量感。触ったときの金属の感触。機械というものに命はないが、そこにあたかも命があるように錯覚して、自分のパートナーとして、いとおしく感じる。自分が操作をして、それに対する応答がある。これは一種のコミュニケーションなのだろう。高度に自動化されたカメラは、こちらから働きかけなくても、すべてカメラがやってのける。そこでは人間と機械のコミュニケーションは希薄だ。なんだか寂しいような気もする。


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