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20km走 初回トライアル [マラソン]

 会社の更衣室でよく顔を合わせる後輩がいる。彼のロッカーは、僕のすぐ左側である。着替えの時間が合うと、ちょっとだけ他愛の無い話をする。彼も昔はランナーだった。
 僕と大して年齢は変わらない。40歳はとうに過ぎているにもかかわらず、フットサルのチームなんか作って、週に一回汗を流す元気な奴である。最近、僕がツインリンクもてぎで10kmのレースに出たことを話すと、「頑張ってますね。10km走れたなら、もう20km走れたも同じですよ」と言っていた。

 そんなもんかなあ。うん、言われてみるとそんな気もする。今年の3月に三浦マラソンに出たとき、1年後にハーフマラソンを走るという目標を漠然と立てていた。そうだ、いつまでも10kmで満足していると、あっと言う間に1年経ってしまうではないか。光陰矢の如し。そろそろ、やらにゃあなるまい。ということで20km走の初回トライアルを行うことにした。決行は9月20日。連日の暑さが、曇天で少し和らいだので、この日に決めた。さてスタート。

 しかし、走り出してみたらやっぱり暑かった。情けないことに、走り出して4kmでバテた。体調も万全ではなかったのかも知れない。なにしろ朝飯を食わずに走ったのだから、ナメてるっちゃあナメてる。1周目の残りは歩き。家の前まで来たところで、再びランニング開始。途中、辻堂駅の公衆トイレで小用を足した。そしたら、その最中に息苦しくなり、回りが暗くなってきた。脳貧血を起こしたときに出る特有の症状。これをなんとか持ちこたえてランニング再開。しかし、やっぱり同じところでバテた。

 水はいつものリュックに500ccのペットボトルを入れていったが、一周目に無くなった。あとは自動販売機で買っては飲み、買っては飲みで、合計2リットル。負け犬の気分でトボトボと歩いて帰宅した。要した時間は3時間。これじゃあ話にならない。

 反省点は下記の通り。
1)朝食抜きはまずかった。エネルギー空っぽで走れるはずがない。
2)準備体操無し。体がびっくりするだろう。
3)リュックに物を入れすぎた。財布も携帯電話も不要だ。水は自販機で買える。
4)小用を足したときに急に止まった。(ただでさえ排尿時は血圧が下がるもの)

 ということで、9月23日にリベンジ。
1)食事をとり、1時間後、念のためにリポDを飲んだ。
2)準備体操のためにラジオ体操第一をして体調を整える。
3)リュックはやめた。ウエストポーチに小銭入れと健康保険証のみ。
4)トイレは、ランニング停止してから1分後にする。

 さあスタート。気温が低くて小雨まで降っていて走りやすい。冷たい風が体を冷やしてくれる。快調に10km達成。ラップタイムは1時間7分。だいたい僕のいつものペースだ。そのまま2週目に突入した。辻堂駅のトイレで小用。ちゃんと止まってから60秒数えてからしたら問題なし。ところが、このとき、左の太ももの裏側、つまりお尻のすぐ下の部分に軽い痛みを感じた。「無理は絶対にしない」がポリシーなのだが、この程度でやめるか? 一瞬悩んだが続けることにした。しかし15km付近で中断。下半身全体が重くなり、足が動かなくなってしまった。その後は歩き。タイムは2時間35分。

 今回のリベンジは体調万全で望んだので、これが今の実力である。つまり10km走れるからと言って、20km走れるとは限らない。考えてみりゃあ当然だよね。「そんな甘いもんじゃない」ということが、はっきりわかった。あの後輩の言葉は、自分の若い頃の経験だったのだろう。「おっさんは違うのだ」、と今度教えてあげようと思った。


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【蛇足】(興味の無い方は無視して下さい)

 ついでに脳貧血について書いておこうと思う。一応言葉の定義をしておく。
■貧血・・・鉄分の不足等により、血液中の赤血球が減少した状態
■脳貧血・・・血圧の低下により脳に血液が循環しなくなり酸素が不足した状態。動悸、息苦しさ、失神などの症状が現れる。
 我々は通常、貧血と脳貧血を区別せず、ひと括りに「貧血」と言うことが多いが、実際は違うものなのである。
 
 僕は子供の頃から今に至るまでずっと低血圧で、小学校の頃はよく朝会で脳貧血を起こして倒れる子供だった。でも中学校以降の友人の多くは、そのことを知らない。それは成長するにつれて対処方法を経験的に身につけて、中学校以降はほとんどなくなったからである。でも、なってしまうこともある。一番新しいのは2007年、今からちょうど3年前に尿管結石をやったときだった。(興味のある方は下記URLを参照)

http://shonankit.blog.so-net.ne.jp/2007-08-28
http://shonankit.blog.so-net.ne.jp/2007-09-06

 脳貧血の怖いところは、倒れて頭を打つことにあると僕は思っている。ただし必ず失神するわけではない。軽ければ持ちこたえることはある。でも最悪の場合は気を失って倒れる。どんな人でも「立ちくらみ」の経験くらいはあるだろう。あれが数分の長さで続くものだと思えばわかりやすい。(僕は山登りに行ったときでも休憩のときに、あまり座らないことにしている。これは血圧の急変が怖いからである)

 脳貧血で何が起きるかを、段階を追って書いてみると、大体、次のような感じになる。

初期段階 動悸が激しくなり息が苦しくなる
第2段階 視界が周辺から暗くなってくる
第3段階 視界が真っ暗になり、音が遠くから聞こえる
第4段階 気を失う(大体1分くらいで気が付く)

 まず、初期段階は、脳がSOSを発している状態である。つまり「酸素が足らないぞ。心臓はもっと血液を送ってこい。肺はもっと息を吸え」と指令を出しているのである。指令に従って、心臓と肺が必死になって頑張っている状態がこの初期段階である。

 第2段階と第3段階は、酸素の欠乏によって脳の機能が低下していることを物語っているようだ。人間の五感のうち、低下したことを一番自覚しやすいのが視覚と聴覚らしい。つまり、普段の生活で、人間が完全な真っ暗闇の中にいることや、完全な静寂の中にいることはまれで、常に何かが見え、何かが聞こえている。だから、おかしくなったときにそれを自覚しやすいのである。

 視覚の低下が先に現れて、その後で聴覚の低下が来るのだが、現実問題として、第3段階までいったら、失神はほぼ確定である。つまり、失神する直前の記憶として第3段階がある。だからなんとしても、第2段階で食い止めなければならないのである。ちなみに尿管結石のときは、痛みによる息苦しさがあったこと、かつ、それに目を閉じて耐えていたことで、初期段階と第2段階を自覚することができなかった。

 食い止めるには、自分の経験から得たノウハウがある。まず一番てっとり速いのは、第1段階で、すぐにしゃがみこむことである。これが一番簡単で安全な方法で、最悪、失神したときでも頭を強打することを防ぐことができる。もっと根本的には寝てしまって、できれば頭を足よりも低くすればいい。そうすれば脳に血液が行きやすくなる。

 ただ、しゃがんだり寝たりすることが出来ない状況もある。例えば満員電車の中なんかそうだ。そういうとき、何とかして第2段階で食い止めるにはどうしたらよいかというと・・・
1)体の動きをとめないこと
2)思考をとめないこと

 まずはどこでもいいから体を動かす。手でも足でもいい。どっちもだめなら指だけでもいい。それから視線を一点に集中させずに、意識的にあちこちをキョロキョロする。
 次に何かを考えること。これには歌を歌うのが一番いい。大きな声で歌う必要はない。思いつく歌をなんでもいいから、口ずさんだり心の中で歌ったりする。

 とにかく、絶対にボーっとしてはならない。したら負けである。このやり方でなんとか第2段階で食い止められたことが何回もあるのだ。こういう努力って、わからない人からみたら可笑しいかもしれない。でも本人にとっては倒れて頭を打つか打たないかの瀬戸際なのである。なりふり構っていられない。

 健康診断でオールAをとったことを以前書いたが、自分には昔からこんな、健康診断の結果に現れないような弱点があったのだ。ランニングをやるようになって、心肺機能を酷使するようになり、低血圧と脳貧血に正面から向き合わざるを得ない状況になった。これはいい機会だと思う。健康のためにやっているのだし、もしかしたら、ランニングを継続することで心肺が鍛えられて、この弱点が克服できるかも知れない。
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