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Perfumeのこと ~アイドルなのかアーチストなのか~ [テレビ]

 僕くらいの年齢のオッサンは、普通はアイドル歌手に興味がない。昔、松田聖子や菊池桃子に狂った年代であるけれども、今となっては、ちょっとくらい若くて可愛い歌手がいたところでビクともしないのが普通である。もう年齢的に免疫ができてしまっているし、ある程度目が肥えているので、よほど心を揺り動かされなければ、新しいものを敢えて受け入れることもない。昔聞いていた歌を何度も繰り返し聴くだけで満足できるのである。

 ところが・・・

 昨年の7月頃、Perfumeというテクノポップユニットにすっかり魅せられてしまい、YouTubeの動画を見まくった。DVDだって3枚も買ってしまった。彼女たちの魅力については、ネットではあちこちで語られているし、ステージパフォーマンスだって、すっかり完成の域に達していて、もう見事としか言い様がない。最近では、アメリカのアニメ映画に彼女たちの楽曲が使われることが決まったそうで、これも凄いことだと思う。

僕の一番のお気に入り「Edge」


 さて、YouTubeの動画では、過去のテレビ番組に彼女たちが出演したときのVTRがかなりの数アップされている。だから僕みたいな時代遅れの人間でも検索をかければ過去の経緯をある程度は追跡することができる。その中にひとつ興味深いものを見つけた。あるテレビ番組に彼女達がゲスト出演したときに、司会の女性がこんな質問をした。「Perfumeはアイドルなの? アーチストなの?」これに対して、彼女達は「どちらで呼ばれても嬉しいです」と答えていた。(上手な答えだと思う)

 アーチストというのは芸術家のことだ。芸能を生業にする人だってもちろんアーチストだから、歌手も俳優もアーチストには違いない。ならば「アイドル」と「アーチスト」は違うものなのか。定義が非常にあいまいだから、ここで敢えて僕なりの定義をしてみる。アイドルというのは、一人前のアーチストになる手前の、いわゆる「見習い」のような段階の人を指すのだと思う。傾向として、若くて外見に魅力があるから、アーチストとしての技量が未熟でも、それに不釣合いなほどに人気が膨らみやすい。

 世間一般に、こうした人たちをアイドルと呼ぶ傾向があるようだ。だから、「アイドルなのかアーチストなのか」という疑問の裏には、「この人たちは見習いの期間をとうに卒業しているようだが、それにしては若すぎる。どっちなんだろう」という一種の困惑が含まれているのだと思う。

 少し話が脇道にそれるが、よ~く考えてみると、アイドルと呼ばれる人たちの芸が未熟なのは当たり前のことだと思う。年齢が十代後半くらいで、一人前の仕事ができるかと言ったら、出来ないと考えるのが普通である。一般の会社員の感覚で言ってもこれは明らかで、マーケッターが市場調査をしたり、エンジニアが新製品を開発したり、営業マンが製品を顧客にPRして大きな契約をとるとか、商社マンが海外から売れそうな製品を見極めて輸入して販売するとか、そんなことが経験の浅い十代の若者にすぐにできるわけがないのである。プロスポーツの世界だって同様、高校を卒業してすぐにプロとして通用する選手なんて一握りのエリートに限られる。

 プロの世界に飛び込んで、すぐにプロの仕事ができるわけではない。見習いの期間を通して、だんだん熟練していく。それはサラリーマンの世界だって、スポーツの世界だって芸能の世界だって同じだと思う。

 さて、Perfumeに話を戻す。公式サイトの年譜を見てみると、彼女達が今のグループを結成したのは、2000年、小学生の頃だったそうである。もう結成10年を過ぎたという。結成したのは「アクターズスクール広島」という芸能の専門学校。ここで小学校の高学年の頃からレッスンを重ね、14歳で上京し、インディーズデビュー。2005年にメジャーデビューした。2007年に「ポリリズム」という楽曲と共にNHKと公共広告機構の共同キャンペーンのCMに抜擢され、これをきっかけに一気に人気が上昇した、ということらしい。

 YouTubeでは、彼女達の下積み時代から今までの動画がたくさん見られるが、見ていて思ったことは、「この人たちは、売れなくて当然の時代に売れずに下積み時代を過ごし、ぼちぼち売れなければならない時期に十分な実力をつけた上で売れた」ということ。つまり極めて自然な流れに乗っているのである。子供の頃の芸は未熟なんだから売れなくても当然なのだ。偉大なのは彼女たち自身、そして彼女達の親や所属事務所である。子供の英才教育に惜しみなく時間とお金を注ぎ込んだ親、そして利益追求型に陥りがちな所属事務所も、彼女達の成長を信じて、契約を続けたこと。その時期に彼女達は必死で努力して芸を磨いた。そして中田ヤスタカという優秀なプロデューサーに巡り合い、方向性を模索、今のスタイルを確立することになる。

インディーズ時代の「ビタミンドロップ」今とのギャップがすごい。(僕は好きだけどね)



 下積みの苦しい時期を経験し、ようやく一人前の仕事ができるようになる。これって普通の人が歩んでいる道に近い、受け入れやすい話ではないだろうか。素人がいきなりプロ野球の4番打者になることの方がよほど不思議なことなのである。

 彼女達がアイドルなのかアーチストなのか、という問いには、アーチストであるという答えが正しいと思う。彼女達の芸は磨きこまれて完成し、もう世界に通用するレベルだと言っていいと思う。今の段階でこれに異を唱える人は、Perfumeというグループを感情的に嫌っている人だろう。それはそれでしかたない。強烈なファンがいれば、強烈なアンチが現れるのは世の常である。美空ひばりの時代からそうなのだから。


【蛇足】
 アイドルの話をしたので、ついでに一言。最近、ふとしたはずみでTBSの「さしこのくせに」という深夜番組を観てしまい、これの出演者の指原莉乃さんに思いっきりハマッてしまった。なんておもしろい子なんだろう。この子はAKB48のメンバーだそうだ。こういう子がいると、それまで興味をもたなかったオッサンだって少しはこのグループに関心を持つ。

 彼女達の動画でひとつすばらしいのを見つけた。「桜の栞」という歌の動画である。この歌は2010年に発売されたシングルだそうだ。もともとが美少女ばかり揃っているところで、こんなきれいな女声コーラスを聞かされた日にゃあ、オッサンの目はハート形になる。「へえ~~、この子たち、こんなきれいな声出すんだ」と感動してしまった。見直したよ。



 上記の定義で言えば、AKB48は典型的なアイドルだと思う。人気者だから利権を求める人達がたくさん群がっているようで、いろいろと物議を醸しているようだが、彼女達に罪はない。これから芸を磨いてみんな一人前のプロになっていくのだろう。(そう思いたい)それが歌なのか芝居なのか、バラエティなのかは、まだわからないけど。
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るるぶぅ

ランニング大会の記事ももちろん面白く読ませていただきましたが、私が感心したのは、Perfumeのダンス力です。彼女達は3人の踊りがぴったりと合っているのもすごいですが、もっとすごいのは、あの高さのヒールで踊り続けているということ。私はスニーカーをはいて運動にスイッチが入りますが、ヒールでは全く運動する気になれません。よく足が故障しないなぁ。ひぐらしさんも機会がありましたら是非ヒールでダンス。おお試しあれ(笑)
by るるぶぅ (2011-06-27 09:18) 

ひぐらし

るるぶぅさんこんにちは。彼女たちの足捌きは、この動画がやっぱり凄いと思います。↓

http://www.youtube.com/watch?v=OPE9-pReMUk&feature=related

さすがに女性は見るところが違いますね。
by ひぐらし (2011-06-27 20:38) 

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