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赤岳に登る(5) [登山]

■深夜の緊急事態

 10月9日は、夕方15時くらいには赤岳鉱泉に到着。またテントの中でサラミソーセージを炙って、売店で買った缶チューハイで一人で乾杯し、19:00くらいには寝てしまった。

 深夜1:00。下腹部の強烈な痛みで目を覚ました。この痛みには覚えがある。尿管結石だ。4年前に一度やったことがある。

 実を言うと、このキャンプを遡ること1週間くらい前に、家で同じ痛みを一瞬だけ感じていた。このときも尿管結石と同じ痛みだということはすぐにわかった。しかし、一瞬で消えてしまったので、別に気にも留めなかった。してみると、結石は、一週間前から潜んでいたのかもしれない。それが今、このときになって暴れだしたのだった。

 ふと思い当たることがあった。登山用のズボンのベルトがきつい。僕が愛用しているNorth Faceの山ズボンは、西洋人向けの設計になっていて、股からベルトまでの距離が短い。僕は典型的な日本人体形で、穀物を消化するために腸が長くできているから、この距離が長いのである。ズリ落ちてくるのを避けるために、いつもベルトをきつく締めている。

 このベルトを緩めてみた。すると、腹部が楽になったのと同時に、腸の中で便が移動するのを感じた。どうか、腸の痛みであってくれ。そう願わずにはいられなかった。(要するに便が下りてくるときの腸の痛みに似ているのである)

 深夜2時頃に排便。これで痛みが終わることを期待した。しかし駄目だった。やはり腸の痛みではない。便の詰まりはあるにはあったが、それは痛みの主原因ではなかったのである。わずかな望みは断たれてしまった。もう尿管結石に間違いない。

 再びテントに戻ったが、中で七転八倒である。腰を曲げたり伸ばしたり、捻ったりして、痛みを和らげようとしたが、にっちもさっちもいかない。バファリンを2:00に1錠飲んだ。しかし痛みは引かない。4時にさらに1錠。それでも痛みは収まらない。バファリンなんかでどうにかなるような、生易しい痛みではないのだ。

 落ち着け。落ち着け。この状況でどうやって下山して、救急病院に行くかを考えなければならない。最初に考えたのは、ヘリを呼ぶことだった。というのは赤岳鉱泉のすぐ近くにはヘリポートがあるのである。しかし、そりゃあ、あまりにも大げさだ。第一、赤岳鉱泉の山小屋のスタッフは起きていなかった。

 結局、覚悟を決めた。痛みを我慢してなんとか下山して、茅野駅まで辿り着こう。茅野の交番に駆け込んで、救急車を呼んでもらおう。そして、万一、途中の山道で力尽きて倒れたときに足取りがつかめるように、姉とN添さんに5:30にメールを出した。

「今、赤岳鉱泉。これから3時間かけて美濃戸口に下山する。尿管結石の症状、腹痛があるので茅野駅についたら病院に行くつもり」

 八ヶ岳は携帯が通じるからありがたい。(南アルプスや丹沢は少しでも奥に入るとすぐに圏外になってしまう)

 テントを畳んでパッキングする作業が辛かった。

(つづく)

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