僕が天文少年だった頃(1) [天文]
【天体望遠鏡の話】
以前ちょっとだけ書いたことがあったが、僕はかつて天文少年だった。宇宙に思いを馳せ、夜空の星を見上げるのが大好きだった。当時ハマったのには、もちろんきっかけがあったし、今回これをネタにしようと思い立ったのにも訳があるのだが、それらについては追って書いていこうと思っている。今回は手始めに、天体望遠鏡のレストアの話である。
***
小学校6年生のとき(1975年)に、親にせがんで買ってもらった天体望遠鏡。初心者向けモデルで、値段は21000円だった。今は量産技術が進んでいるせいなのか、海外生産のせいなのか、よくはわからないが、同じクラスの望遠鏡が同じくらいの値段で買えるようだ。ただ、当時の値段としては安い買い物ではなかったと思う。そもそも狭くて物を置く場所もあまりない家だったのに、よく買ってくれたものだと思う。親とはありがたいものだ。
さて、この望遠鏡で天文少年ひぐらしは何を観たか。印象の強かったものを挙げてみる。
1)月
やっぱり天体望遠鏡を買ったら、誰でも最初に月に向けるだろう。クレーターを初めて見たときは感動した。
2)太陽
望遠鏡で太陽を直接覗けば目を傷めてしまうが、接眼レンズに専用のフィルターをつけると観られるようになる。表面の黒点がちゃんと見え、しかも毎日観察すると黒点が移動していくので、太陽が自転していることが確認できる。
3)金星
「明けの明星」を見るか、「宵の明星」を見るか、どちらかしかないが、早起きは苦手だったから後者のみ。まあどちらも金星であることに変わりはない。内惑星だから月のように満ち欠けがあり、望遠鏡ではこれがはっきり確認できる。
4)火星
大接近のときに望遠鏡を向けてみた。しかし残念ながら、模様らしきものは見えなかった。その残念さをよく覚えている。
5)木星
赤道付近にかすかに縞模様が見える。ガリレオが発見した4つの衛星もよく見えた。
6)土星
輪がはっきり見えた。(これは感動したよ~~)
7)アルビレオ
はくちょう座のくちばしのところにある二重星。肉眼でみると一つの星だが、望遠鏡でみると青とオレンジの二つの星に分かれて見える。綺麗だった。
8)プレアデス星団
いわゆる昴(すばる)というもので、おうし座にある散開星団。肉眼でもモヤッと見えるが望遠鏡を向けると星がギッシリ集まっている。実に美しい。
***
これらの他にもいろいろと望遠鏡を向けてみたが、あまり印象に残っていないということは、よく見えなかったということである。これは望遠鏡の視野の問題もあるし、微動装置がなくて(操作性が悪く)視野に入れられなかったというのもある。つまりは機材が貧弱だったということになるが、この望遠鏡で、かつ、あの頃の知識と技術で、楽しめるだけ楽しんだと自分では思っている。
他に見たいものはたくさんあったし、天体写真を撮ってみたいと思ったりもしたが、それは無理だった。こういう趣味をやる場合、小学生、中学生には経済力の壁が大きく立ちはだかるのである。星空の観望は、機材が無くても楽しむ方法はある。しかし、そのうちに僕自身の興味が他の方向に移ってしまったのだった。
この望遠鏡は実家の、僕がかつて使っていた2階の部屋にずっと置きっぱなしで埃をかぶっていたが、今年は気分が盛り上がっていたので自宅に持って帰ってきた。
掃除のために分解。レンズの埃掃除、鏡筒の塗装などをした。
レストア完了。全体像。
ちょっと拡大。
銘板。
モノは「カートン光学」製6センチ屈折経緯台である。(このメーカーはすでに天体望遠鏡からは撤退してしまったようだが会社は存続している)試しに月を見てみたが、ちゃんとクレーターまで見えたから、昔の性能は維持しているかも。ただ、やはり微動装置がついていないというのは非常に不便だし、クランプすると視野がずれるなんていう欠陥もある。要するに架台が貧弱なために、光学系の性能を十分に発揮できないのである。(天体望遠鏡をこれから買おうという人には、架台の貧弱なものは買わないように助言してあげたい)
この望遠鏡をベースにして、架台を自作してグレードアップしてみるのも面白いな、と思ったが、よく考えたら昔もこれと同じことをずっと考えていたのだった。昔と違って今はできる環境がある。だったらやらなきゃ。
(今までの人生でやり残したことを、死ぬまでにどれだけできるのだろうと最近いつも考えている)
(つづく)
以前ちょっとだけ書いたことがあったが、僕はかつて天文少年だった。宇宙に思いを馳せ、夜空の星を見上げるのが大好きだった。当時ハマったのには、もちろんきっかけがあったし、今回これをネタにしようと思い立ったのにも訳があるのだが、それらについては追って書いていこうと思っている。今回は手始めに、天体望遠鏡のレストアの話である。
***
小学校6年生のとき(1975年)に、親にせがんで買ってもらった天体望遠鏡。初心者向けモデルで、値段は21000円だった。今は量産技術が進んでいるせいなのか、海外生産のせいなのか、よくはわからないが、同じクラスの望遠鏡が同じくらいの値段で買えるようだ。ただ、当時の値段としては安い買い物ではなかったと思う。そもそも狭くて物を置く場所もあまりない家だったのに、よく買ってくれたものだと思う。親とはありがたいものだ。
さて、この望遠鏡で天文少年ひぐらしは何を観たか。印象の強かったものを挙げてみる。
1)月
やっぱり天体望遠鏡を買ったら、誰でも最初に月に向けるだろう。クレーターを初めて見たときは感動した。
2)太陽
望遠鏡で太陽を直接覗けば目を傷めてしまうが、接眼レンズに専用のフィルターをつけると観られるようになる。表面の黒点がちゃんと見え、しかも毎日観察すると黒点が移動していくので、太陽が自転していることが確認できる。
3)金星
「明けの明星」を見るか、「宵の明星」を見るか、どちらかしかないが、早起きは苦手だったから後者のみ。まあどちらも金星であることに変わりはない。内惑星だから月のように満ち欠けがあり、望遠鏡ではこれがはっきり確認できる。
4)火星
大接近のときに望遠鏡を向けてみた。しかし残念ながら、模様らしきものは見えなかった。その残念さをよく覚えている。
5)木星
赤道付近にかすかに縞模様が見える。ガリレオが発見した4つの衛星もよく見えた。
6)土星
輪がはっきり見えた。(これは感動したよ~~)
7)アルビレオ
はくちょう座のくちばしのところにある二重星。肉眼でみると一つの星だが、望遠鏡でみると青とオレンジの二つの星に分かれて見える。綺麗だった。
8)プレアデス星団
いわゆる昴(すばる)というもので、おうし座にある散開星団。肉眼でもモヤッと見えるが望遠鏡を向けると星がギッシリ集まっている。実に美しい。
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これらの他にもいろいろと望遠鏡を向けてみたが、あまり印象に残っていないということは、よく見えなかったということである。これは望遠鏡の視野の問題もあるし、微動装置がなくて(操作性が悪く)視野に入れられなかったというのもある。つまりは機材が貧弱だったということになるが、この望遠鏡で、かつ、あの頃の知識と技術で、楽しめるだけ楽しんだと自分では思っている。
他に見たいものはたくさんあったし、天体写真を撮ってみたいと思ったりもしたが、それは無理だった。こういう趣味をやる場合、小学生、中学生には経済力の壁が大きく立ちはだかるのである。星空の観望は、機材が無くても楽しむ方法はある。しかし、そのうちに僕自身の興味が他の方向に移ってしまったのだった。
この望遠鏡は実家の、僕がかつて使っていた2階の部屋にずっと置きっぱなしで埃をかぶっていたが、今年は気分が盛り上がっていたので自宅に持って帰ってきた。
掃除のために分解。レンズの埃掃除、鏡筒の塗装などをした。
レストア完了。全体像。
ちょっと拡大。
銘板。
モノは「カートン光学」製6センチ屈折経緯台である。(このメーカーはすでに天体望遠鏡からは撤退してしまったようだが会社は存続している)試しに月を見てみたが、ちゃんとクレーターまで見えたから、昔の性能は維持しているかも。ただ、やはり微動装置がついていないというのは非常に不便だし、クランプすると視野がずれるなんていう欠陥もある。要するに架台が貧弱なために、光学系の性能を十分に発揮できないのである。(天体望遠鏡をこれから買おうという人には、架台の貧弱なものは買わないように助言してあげたい)
この望遠鏡をベースにして、架台を自作してグレードアップしてみるのも面白いな、と思ったが、よく考えたら昔もこれと同じことをずっと考えていたのだった。昔と違って今はできる環境がある。だったらやらなきゃ。
(今までの人生でやり残したことを、死ぬまでにどれだけできるのだろうと最近いつも考えている)
(つづく)
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