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極軸ファインダー設計ノート(1) [天文]

 先の記事に書いたように、望遠鏡の光学系を勉強中。目的は、赤道儀の極軸ファインダーを設計することにある。だから設計に必要な情報が揃った時点で目標達成ということになる。光学系の勉強は、初めてなので、目標達成にはまだ少し時間がかかりそうだが、いろいろと考え事をして、曲がりなりにもわかったことがあるので、それを発表したいと思う。なにぶん独学だから、もしかしたら間違ったことを書くかも知れないが、間違いに気づいたら、その都度訂正していく予定。

 まず初回は、子供の頃に誰でもやった、太陽の光をレンズで集めて紙を焦がす遊びの光学的な意味である。
01.jpg

■図1
 凸レンズを真ん中に置き、その左側にある1点Oから光が放射される。放射とは、この点自体が発光していてもよいし、外から来た光を散乱していてもよい。いずれにせよ、それが人間の視覚に届いて「見える」ということになる。見えるものは、すべて光を放射している。
 凸レンズの中心をZとする。Oから四方八方に広がっていく光のうちの一部は凸レンズに入り、右側に通り抜けるときに屈折して点O’に集まる。
F1.jpg

■図2 
 図1では、レンズに入らない光まで作図したが、これを省略すると図2のような図になる。つまりレンズに入る光だけを視覚的に意味のある光と考える。
F2.jpg

■図3
 点Oの上下の近傍に二つの点A、Bを考える。ただしOA=OB。これらから出た光はレンズを通過してA’、B’に集まる。このときAZA’とBZB’は直線である。つまりレンズの中心を通る光は屈折しないように作図している。図中の角AZB(=A’ZB’)をαとする。このαは点A、Bの位置がどれだけ離れているかを示す角度であり、これが追々、物体の大きさとしての意味をもつ。今、αの大きさは極めて小さいものとする。(この条件を付けないとO’、A’、B’が同一平面上に並ばず面倒なことになるため)
F3.jpg

■図4
 αを一定の大きさに保ったまま、O、A、Bの距離をレンズから離していくとO’、A’、B’の位置はレンズ側にずれてくる。距離が無限大になったときは、レンズに入射する光は事実上の平行光線になる。このとき距離ZO’をこのレンズの焦点距離と呼び、fで表す。天体望遠鏡を考えるときは、物体の距離は常に無限大と考えてよい。
F4.jpg

■図5
 図4でレンズの中心を通る光線だけを抽出し、あとは省略すると、図5のようになる。つまり、角度αのサイズの物体(天体)は、レンズの焦点距離の位置に、サイズA’B’のサイズの像を結ぶということである。
F5.jpg

***
 さて、図5を使って、最初の写真の太陽の像のサイズを計算してみる。
tan(α/2)=O'A’/f ・・・(1)
が成り立つ。またαが非常に小さいときは、
tan(α/2)=α/2 ・・・(2)
と近似できるので、(1)は
α/2=O'A’/f ・・・(3)
と書き換えられる。
O'A’= fα/2 = A'B'/2 すなわち
A'B' = fα・・・(4)

 太陽の視直径は約0.53°だから、これをラジアンに変換して
α=0.53×π/180  ・・・(5) (πは円周率)
また写真の虫めがねの焦点距離は実測で約100㎜だった。
f=100 ・・・(6)
(5)(6)を(4)に代入すると、
A’B’=0.92 ・・・(7)
これが太陽の像の直径(㎜)となる。

 写真で紙の上に結んでいる太陽の像は直径5㎜位に見えるが、これは写真撮影の巧拙の問題である。(左手で虫眼鏡をもって、右手でカメラを持って撮影しているので、ジャストフォーカスの位置でなかなか固定できない)
 焦点が合ったときの像は目測でだいたい直径1~2 ㎜くらいに見えたので、(7)の計算結果は概ね合っていると思われる。

 次回は先日撮った月の写真を使って、もう少し精度の高い検証をしてみる。

(つづく)
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