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極軸ファインダー設計ノート(4) [天文]

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このシリーズでは、天体望遠鏡の赤道儀式架台の極軸合わせに用いる、いわゆる「極軸ファインダー」の設計方法を考えています。
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(前回からの続き)
 自分の目の前、15~18㎝の位置に「像」ができるということは、その位置に「物」があるのと全く同じ状態である。それを図を使って、もう少しわかりやすく説明してみる。
 下の図はこのシリーズの(1)で掲載した図3の再掲である。

F3.jpg

【物の場合】
 AOBの3点は、物を代表する3点である。それぞれの点から光が放射される。物の場合、光は1点を起点としてあらゆる方向へ(四方八方へ)放射される。従って、その点はあらゆる方向から見ることができる。

【像の場合】
 A’O’B’の3点は、それぞれがAOBに対応した点であるが、これらの点が、あたかも物の一点のように光を放射している。ただし像の場合、光は左から右へしか放射されないから、右側からしか見ることができない。

 というわけなので、物と像の違いは、光があらゆる方向に進むか、一方向にだけ進むかという違いだけである。像は触ることはできないが、目にとってはそこに物があるのと同じ現象が起こっているということである。

 これで疑問は晴れた。前回の一般論と2つの疑問をもう一度書いてみよう。

■一般論
 「対物レンズの焦点距離のところに紙を置けば、そこに像が結ばれているのが見える。この紙をすりガラスに置き換えてみると、像は対物レンズの反対側からも見える。その像を、もう一つの接眼レンズで拡大すれば、大きく見える。その後、そのすりガラスを取り去ってしまえば、さらによく見える」

【ひぐらしの疑問1】
 すりガラスを置けばたしかに像は見えるだろう。それを虫眼鏡で拡大すれば、それも大きく見えるだろう。ここまではわかる。では、その状態から、すりガラスの位置を焦点距離からわずかにずれたところにずらしたらどうなるのか。すりガラスに映るのはピンボケ画像のはずである。ならば、虫眼鏡で拡大するのは、ピンボケ画像になってしまうのか。
【疑問1の答え】
 光路にすりガラスを置けば、光が散乱して見えなくなる。それはすりガラス越しにものを見ようとしても見えなくなるのと同じである。ただし、すりガラスを焦点に置いたときは、すりガラスのすぐ裏に物が来たのと同様になるから、かろうじて見えることは見えるだろう。(すりガラスの譬えはあまりよろしくないことがわかったので、これ以上は追及しない)

【ひぐらしの疑問2】
 すりガラスを置いて像が見えるようになるのは、すりガラスに光を散乱させる働きがあるからであろう。それならば、すりガラスを取り除いてしまったら、光が散乱しなくなるから何も見えなくなってしまうのではないだろうか。
【疑問2の答え】
 すりガラスが光を散乱するのは事実で、その場合あらゆる方向から見えるようになるだろう。すりガラスを取ると光の散乱はなくなる。だからあらゆる方向から見えるということはなくなる。しかし、左から右へ進む光だけは無くならないから右からだけは見える。

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 次回は、実際の北極星の天球上の座標を考慮して、実際に照準を設計してみる。
(つづく)



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