SSブログ

数学思い出話3(黒大数) [数学]

黒大数.jpg

 数学検定の準1級合格に向けて、今度こそ心を入れ替えてちゃんと勉強しようと思ったとき、やっぱり高校3年レベルなのだから、自分が高校生の時に使っていた本で勉強したいと思った。ただし、そのためには “あの時代” の参考書をなんとかして調達しなければならない。自分の手元の高校時代の教材は、授業で使っていた教科書がかろうじて残っているだけである。

 そんな話を会社の後輩にしたところ、「今の参考書でもいいんじゃないんですか?だって、昔も今もそんなに内容は変わらないでしょう?」と言われた。その通り。この考え方は全く正しい。ただ僕の場合は普通の人と違って懐古趣味がある。昔の参考書で勉強することにこだわるのは、昔を懐かしむことに大きな楽しみがあるからで、「最近の参考書を使え」となったらこれが無くなる。ここは重要で譲れない線なのだ。

 高校時代に愛用していた数学の参考書で、研文書院の「大学への数学」という本があった。通称「黒大数」と呼ばれていた。(注1)大学受験の合格体験記で評判が良かったので選んだのだが、受験参考書だったこともあり、とにかく問題が難しかった。当時はこれを数Ⅰ、数ⅡB、数Ⅲまで全部やった(と思う)。

 この黒大数をヤフオクで買えないかなと思って検索してみたら、ちょうど僕の高校時代の課程(注2)のものが数Ⅰ~数Ⅲの3冊揃いで出品されていた。しかもかなり程度がいい。早速入札した。ところが入札者が僕の他に二人いて、熾烈な争いが起きた。どんどん値がつり上がり、挫けそうになったが、ここで負けたら次にいつ出品されるかわからない。頑張ってなんとか競り落とした。(注3)

 昔勉強していて難しいと感じた問題を、今解いたらどう感じるのだろうという素朴な疑問があったが、やってみたらやっぱり難しかった。「これ本当に昔やってたのかな」って思うくらい。数学の問題は、「数Ⅰだから簡単で数Ⅲだから難しい」とか、そういうものではない。数Ⅰだろうが、なんだろうが、ひねりようによってはいくらでも難しくなるわけで、その意味ではパズルと同じである。

 数学の勉強をすることで頭脳の老化がちょっとは食い止めることができるかも知れない。毎日1問ずつでもいいから、問題を解くのを習慣にできたらいいなと思う。(でも「言うは易し行うは難し」なんだよね)

***
(注1)東京出版から出ている「大学への数学」という同じタイトルの月刊誌があり、こちらは昔も今も受験生に愛読されている。研文書院の「大学への数学」は東京出版と区別するため、表紙の色の特徴から「黒大数」と呼ばれていた。なお研文書院は2013年に廃業したようで、オークションで値段が高騰したのは、こんな事情もあるのかも知れない。

(注2)僕の高校時代は1979年(昭和54年)4月~1982年(昭和56年)3月の3年間だった。この時代の数学のカリキュラムは1973年に改訂されたものが使われていたようだ。その後、僕が高校を卒業した1982年の新年度から、また新しい内容に変わったらしい。
 カリキュラムはこのようにして、時代により見直され改訂されていくので、学習参考書の中古品を買おうとするときはタイトルだけでなく発行年も気にする必要がある。例えば「数学Ⅰ」というタイトルは、僕らの前の世代(1960年代)からすでにあって、しかも現代(2020年)に至るまでずっと、もう60年近く続いている。しかし内容は時代によって変遷がある。

(注3)あのオークションの値の上がりっぷりを見ると、もしかして世の中には、こういう時代ごとの参考書を蒐集するマニアがいるんじゃないかと思えてきた。少なくとも僕は今、そういう禁断の領域に足を踏み出すのを自制しているところである。そもそも自分には蒐集癖があるので、気をつけないと数学の勉強があらぬ方向に行ってしまうリスクがある。


nice!(1)  コメント(6) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 6

青い森のヨッチン

高校に入学してしょっぱなの数学(代数幾何だっけ?)から挫折したので高3では完全選択制ということもあり私立文系一本で数学とはおさらばしました。
大人になってちょっと数学に対する劣等感があって長期入院時におさらいできる数学の本を買って病室に持ち込みましたが鎮静剤よりも効果があって数ページで無事退院。
今でもリベンジしたいと思っていますが今の高校生のカリキュラムと当時のものって違いますか?
なんか書店で参考書とか見ても当時の授業内容が全然思い出せません(よっぽど授業に身が入っていなかったのかも)
最近では教科書の販売店が在庫を一般の人に売ってくれるサービスもあるので今の高1のカリキュラムの教科書からでもやってみたいです。
そういえば数学の参考書はチャート式を使っていたような・・
なんか難しくって教科書より難解に思えてすぐ使わなくなりました(素質が無いのでしょうねぇ)
by 青い森のヨッチン (2020-12-09 16:29) 

ひぐらし

青い森のヨッチンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ご質問の「今の高校生のカリキュラムと当時のものって違いますか?」について。
いただいたコメントの中に「代数・幾何」という言葉が出てきたので、ヨッチンさんが勉強したカリキュラムは、1982年(昭和57年)~1993年(平成5年)の間のものだと思います。テキストに、このような漢字のタイトルがついていたのは、この時期だけなので。
今、ちょうど、この年代(昭和63年版)の「チャート式基礎からの数学Ⅰ」がヤフオクに出品されていて、目次の写真を載せてくれています。これを見ると、下記のようになっています。
1)数と式
2)数と集合
3)方程式・不等式
4)式の証明、整数
5)関数とグラフ
6)図形と方程式
7)三角比
この当時の「数学Ⅰ」の内容は、現在の「数学Ⅰ」と「数学A」を合わせた内容に概ね相当する・・・んじゃないかな~と思われます。(自信なし)まあ、でもぴったり同じとはいかないでしょうね。


by ひぐらし (2020-12-09 19:26) 

ひぐらし

青い森のヨッチンさん、書き忘れました。高校に入学してしょっぱなの数学は、数学Ⅰ(だったはず)です。
by ひぐらし (2020-12-09 19:29) 

青い森のヨッチン

ひぐらしさん
色々ありがとうございます。
1985年に高校入学したのでご推察の通りです。
数学Aなんてのもあるのですね~
高2の3学期の微分積分は進級がかかっていたので必死に勉強してクラスの数学の成績が良かった友人たちに教えられるレベルまでになりました。教え方がわかりやすいのだそうです。それ以後は数学とは無縁になりました(決別)

by 青い森のヨッチン (2020-12-11 11:26) 

医転

数Ⅲ単体の黒大数はやっぱり手に入らないんですかね
by 医転 (2021-08-09 01:26) 

ひぐらし

医転さんへ。「数Ⅲ単体の」という言葉が何を意味するか、よくわからないのですが、Wikipediaで「数学Ⅲ」というタイトルを検索すると、「数学Ⅲ」という名称のついた科目の改訂の変遷が書いてあります。ですから、どの年度の「数学Ⅲ」が欲しいのかをはっきりさせて、その年度のものを入手されることをお勧めします。オークションで買う場合は、年度が明確に書いてあるものがいいです。
なお、手に入らないとは言い切れませんが、年月が経てば経つほど手に入りにくくなるということはあるかも知れません。
by ひぐらし (2021-08-10 13:58) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。