数学思い出話4(夢に出てくる問題集) [数学]
高校に入学すると当然のことながら、どんな科目でも学校指定の教材を買うわけだが、数学では教科書の他に数研出版の「要点と演習」という問題集が指定された。今回はこの問題集にまつわる思い出である。下の写真は、ヤフオクに出品されていたもの。(数ⅡBと数Ⅲのみゲット)
高校に入学して最初の定期テスト(1学期の中間テスト)で、数学の成績がどうだったかというと、自分としては予想していたよりもずっと悪かった。記憶では、7割くらいしかとれていなかったと思う。中学生の頃は9割くらいが普通だったので、これはかなりショックだった。しかもさらにショックだったのは、周囲の友人たちが僕よりもだいぶ良い成績をとっていたことだった。
この原因は間もなくわかった。指定問題集の「要点と演習」である。これをきちんとやっていたかどうかが明暗を分けた。良い成績をとった友人たちはみんな、完璧にやっていたのに、僕は油断してあんまりやっていなかった。これに載っていた問題が、多少のアレンジはあったと思うが、ほとんどそのまま出ていたのだった。いわゆる実力テストと違って定期テストというものは、だいたいそういうものだと思う。普段の地道な努力が報われるようになっているのである。
1年生のときの数学の担当のN本先生が授業中によく言っていた。「数学というのは解き方のパターンを覚えるという意味では暗記科目だからね」と。僕はこの言葉を、当時はあまり信用していなかった。数学の苦手な人に自信を持たせるためにそんなことを言っているように見えていたのだった。
でも今は、この言葉の意味がよくわかる。解き方のパターンを覚えるというのは、武道に例えるなら形稽古である。乱取りや試合をやる前に、形を覚えるというのは、武道の普通の考え方だと思うし、他のスポーツでも、基礎トレーニングで何度も何度も同じ体の動きの訓練を積むものだ。N本先生が、「要点と演習」をしっかり勉強しておけばちゃんと点が取れるような問題を出した理由は、とにかく「基礎訓練を怠るな」ということを生徒の頭の中に刻み込むためだったのだろう。
昨年、数学検定の2級を受験したときの記事で、受験の動機が、”たまに見る夢” から来たことを書いた。(注1)それがまさにこの「要点と演習」の夢なのだった。この問題集には、編集上の特徴がある。見開きの左側のページに問題が4問載っていて、これが重要例題という位置づけ。右側のページに演習問題がある。
「左側4問は重要例題である」ということを、夢の中できちんと認識している。そして「重要例題なのに、何言ってるのかぜんぜんわからない。しかも入試はもうすぐだ。これはヤバいぞ」と焦っている。そして目を覚まし、受験も大学もみんな終わって社会人になっていることを思い出して安心する。(注2)
この問題集に対して漠然とした恐れをもっていたことは確かで、だからこそ、これが夢にでる。ならば今から、この問題集を勉強して克服すれば、恐れはなくなるだろう。しかし、そうすると、この問題集の夢をもう見なくなってしまうかもしれない。それはそれで寂しい。(注3) だからこの問題集には当面、手をつけないことにした。(つまり封印)
(なお、N本先生については余談あり。つづく)
***
(注1)昨年の2級受験の記事
「数学検定2級受験体験記」
https://shonankit.blog.ss-blog.jp/2019-11-14
(注2)「何言ってるのかぜんぜんわからない」と書いたが、よく考えると、夢だから視覚情報が曖昧で、つまりはボンヤリして、文字なんか読めないのである。読めない問題なら、そりゃあ、わからないに決まっている。長年気づかなかったこのアホらしい事実に、実物を手にしてようやく気づいた。
(注3)問題集とにらめっこして焦る夢は、一応悪夢ではあるのだが、それなりのスリルもあって満更悪いばかりではない。無くしてしまうのは惜しい気がする。
高校に入学して最初の定期テスト(1学期の中間テスト)で、数学の成績がどうだったかというと、自分としては予想していたよりもずっと悪かった。記憶では、7割くらいしかとれていなかったと思う。中学生の頃は9割くらいが普通だったので、これはかなりショックだった。しかもさらにショックだったのは、周囲の友人たちが僕よりもだいぶ良い成績をとっていたことだった。
この原因は間もなくわかった。指定問題集の「要点と演習」である。これをきちんとやっていたかどうかが明暗を分けた。良い成績をとった友人たちはみんな、完璧にやっていたのに、僕は油断してあんまりやっていなかった。これに載っていた問題が、多少のアレンジはあったと思うが、ほとんどそのまま出ていたのだった。いわゆる実力テストと違って定期テストというものは、だいたいそういうものだと思う。普段の地道な努力が報われるようになっているのである。
1年生のときの数学の担当のN本先生が授業中によく言っていた。「数学というのは解き方のパターンを覚えるという意味では暗記科目だからね」と。僕はこの言葉を、当時はあまり信用していなかった。数学の苦手な人に自信を持たせるためにそんなことを言っているように見えていたのだった。
でも今は、この言葉の意味がよくわかる。解き方のパターンを覚えるというのは、武道に例えるなら形稽古である。乱取りや試合をやる前に、形を覚えるというのは、武道の普通の考え方だと思うし、他のスポーツでも、基礎トレーニングで何度も何度も同じ体の動きの訓練を積むものだ。N本先生が、「要点と演習」をしっかり勉強しておけばちゃんと点が取れるような問題を出した理由は、とにかく「基礎訓練を怠るな」ということを生徒の頭の中に刻み込むためだったのだろう。
昨年、数学検定の2級を受験したときの記事で、受験の動機が、”たまに見る夢” から来たことを書いた。(注1)それがまさにこの「要点と演習」の夢なのだった。この問題集には、編集上の特徴がある。見開きの左側のページに問題が4問載っていて、これが重要例題という位置づけ。右側のページに演習問題がある。
「左側4問は重要例題である」ということを、夢の中できちんと認識している。そして「重要例題なのに、何言ってるのかぜんぜんわからない。しかも入試はもうすぐだ。これはヤバいぞ」と焦っている。そして目を覚まし、受験も大学もみんな終わって社会人になっていることを思い出して安心する。(注2)
この問題集に対して漠然とした恐れをもっていたことは確かで、だからこそ、これが夢にでる。ならば今から、この問題集を勉強して克服すれば、恐れはなくなるだろう。しかし、そうすると、この問題集の夢をもう見なくなってしまうかもしれない。それはそれで寂しい。(注3) だからこの問題集には当面、手をつけないことにした。(つまり封印)
(なお、N本先生については余談あり。つづく)
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(注1)昨年の2級受験の記事
「数学検定2級受験体験記」
https://shonankit.blog.ss-blog.jp/2019-11-14
(注2)「何言ってるのかぜんぜんわからない」と書いたが、よく考えると、夢だから視覚情報が曖昧で、つまりはボンヤリして、文字なんか読めないのである。読めない問題なら、そりゃあ、わからないに決まっている。長年気づかなかったこのアホらしい事実に、実物を手にしてようやく気づいた。
(注3)問題集とにらめっこして焦る夢は、一応悪夢ではあるのだが、それなりのスリルもあって満更悪いばかりではない。無くしてしまうのは惜しい気がする。
教科書すらろくに見なかった自分は本当になめ切っていて後でひどい目にあうのですが・・・
夏休みの課題も提出しないで体育の事業中に緊急の校内放送で名指しで数学科準備室に呼び出されたことがあります。
体育教師が心配そうに送り出してくれましたけど・・
by 青い森のヨッチン (2020-12-11 11:20)
ヨッチンさん、呼び出されて、その後どうなったのですか。気になります。笑 ボコボコに殴られたとか?
by ひぐらし (2020-12-12 11:33)