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数学思い出話5(加法定理の語呂) [数学]

(前の記事からの続き)
 N本先生は我々が高2に進級するのと同時に、転勤で他の学校に異動してしまった。そして去り際に、三角関数の加法定理を教えていった。この定理は、少なくとも我々の世代では2年生で習う内容だった。それを敢えて1年生で教えたのは、「転勤したらもうこいつらに教えられないから最期の授業で教えておこう」と思ったのだろう。

【図】加法定理の図2.jpg

 N本先生はこんな語呂合わせを教えてくれた。
1)cosの覚え方は、「コスコス マイナス サインサイン」
2)tanの覚え方は、「イチマイ タンタンぶんの タンプラスタン」
と来て、最期に
3)sinの覚え方は、「しーこ ぷらっと コーシー」
「しーこという女の子がぷらっと喫茶店に入ってコーシーを飲むところを想像しろ」という。これには笑った。普通ならsin、cos、tanの順に説明するのだろうが、あえて一番インパクトの強いsinを最後にもってきて三段落ちを効かせている。これを授業で毎年やってウケていたのだろう。

 2年生になって数学の先生がかわり(注1)、授業で正式にこの定理を習ったとき(注2)、新しい先生は特に記憶方法を教えなかった。しかし、このときクラスのみんながN本先生に教わったこの語呂を思い出したようで、あちこちでクスクスと忍び笑いが聞こえたのを覚えている。

 加法定理のsinは、「咲いたコスモス コスモス咲いた」と覚えるのがどうやら王道らしいと知ったのは、ずっと後の話。こっちの方が洗練されている。でも記憶に残るにはインパクトが必要だ。その点「しーこ ぷらっと コーシー」は十分なインパクトがあった。よくぞ教えてくれたとN本先生には感謝している。僕自身、いまだにこの覚え方で覚えているのだから。

 なおネットで調べると、こういう語呂合わせはいろいろと見つかる。下ネタまであるので、興味のある方は検索されたし。でも当時はインターネットなんか無かったからこんな教科書に載っていないコツのようなことは、先生から教わることがほぼ全てだった。

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(注1)数学思い出話2(極限とは)に登場した、イプシロンデルタ論法を教えてくれた先生。
https://shonankit.blog.ss-blog.jp/2020-09-05

(注2)角αの回転を表す行列をA、角βの回転を表す行列をBとしたとき、積ABを求めると、ただちにこの定理の形が現れる。技の鮮やかさに感動した。

***
【余談】
 数学ではないが、ついでに思い出したこと。元素の周期表で、原子番号1~20番(水素~カルシウム)の覚え方は、
「水兵リーベ僕の舟、名もあるシップスクラークか」
H He Li Be B C N O F Ne Na Mg Al Si P S Cl Ar K Ca
・・・というのがあって、これは中学生で習うので、割とたくさんの人に馴染みのある語呂だと思う。高3のとき、その先の、21~36(スカンジウム~クリプトン)の覚え方をクラスの誰かがどこかから習ってきて、それが面白くてクラス中に一気に広まったことがあった。

「スコッチ暴露マン、徹子にどうせ会えんが、ゲルは明日背広着る」
Sc Ti V Cr Mn Fe Co Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr
 意味不明だし、リズムもいまいちなんだが、何かユーモラスで記憶の定着がすごくいい。化学から離れてしまった僕が今でも覚えているということは、やはりそれだけ覚えやすい、良い語呂なのだと思う。当時、これを聞いてから、その先を自分で作ってみようかと思ったが、ロクなのができず諦めた。語呂合わせというのは自分で作るより、むしろ他人が作ったクセの強いやつを強烈な印象とともに、できれば笑いとともに覚えた方が効果的だと思う。


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