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メロディー電卓 ML-71 [雑文]

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 僕が大学時代(1985年頃)に愛用していたCASIOのML-71という電卓があった。カードサイズで、時計機能、アラーム機能、タイマー機能がついている。普段は、時計になっていて、カバーを閉じた状態でも時刻を確認できるようにカバーに窓がついている。

 しかも、数字のボタンに音が割り付けられていて押すと音が鳴り、簡単な音楽を演奏できる。この時代、電卓戦争が一段落してゲームウオッチなんてものが流行ったりして、電卓も遊びの要素が付加された時代だった。任天堂がファミリーコンピューターを出したのは1983年だったそうな。

 さて大学時代、叔父がたまたますぐ隣に住んでいた。子供が3人いて、一番上の子が、僕と11歳年が離れていた。当時の僕にとっては、可愛くも何ともないうるさいガキである。このガキどもが日曜日になると、僕の部屋にずかずかと入り込んでいろいろなものをいじり回すのが常になっていた。さほど子供受けするような面白いものがあるわけでもないから大した被害には合わなかったが、たまたまこの電卓が見つかってしまい、奴らのオモチャになってしまった。

 アラームの音が、メンデルスゾーンの「春の歌」。タイマーの音が、シューベルトの「楽興の時」になっている。本来なら、アラーム、タイマーそれぞれを使ったときに、これが自動演奏されるのだが、「アラーム」というボタン、「タイマー」というボタンを単に押しただけでも、この曲が流れるようになっている。

 困ったことに、ガキどもがこの機能を学習してしまった。僕の部屋にくるたびに、やたらこのボタンを押すのである。押すと機械がいちいちそれに反応するのが面白いのだろう。飽きることもなく何度も何度も押す。そのたびに同じメロディーが流れる。「うるせえからもうやめろ」と言っても聞かないので閉口した。

 その後、この電卓がどうなったかは記憶がない。結構乱暴に使った(つまり愛用した)ので、たぶん壊れて廃棄したと思う。その後、長いこと忘れていたが、つい最近これと全く同じものがヤフオクに出品されているのを偶然見つけてしまった。新品同様で3800円。これも何かの縁だ。思い出もあったし愛着もあったので、この値段なら惜しくはないと思い、すぐに落札した。

 さてさて。送られてきたものを起動しようとして説明書を読んだときに、ちょっと驚く発見があった。僕は、この時代(1980年代)の機器には、2000年問題があるはずだと思っていて、そこはもう仕方ないと諦めていたのだが、そうではなかった。取説の仕様の欄の、カレンダーのところに「1901~2099年」と書かれている。今年は2021年だ。まだ普通に使えるどころか、あと78年も使える。電卓よりも先に僕がくたばるだろう。これは嬉しい発見だった。(冒頭の写真、21 04 25という表示になっている)

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 CASIOのこの電卓のLSIは、おそらくこの機種のために専用設計したものだろうと思う。しかもカレンダーの幅が200年もある。その条件で1985年に設計するなら「1999年で終わり」なんていう設計にするはずはない。エンジニアの心理として「そりゃそうか」とも思う。

 2000年問題というのは、構築したコンピュータシステムのカレンダー機能の「年」の部分が、メモリーの節約のために2桁で表されていたことによるものだった。つまり「99」という数字は1999年と認識するが、そこに1を足して「00」になったとき、2000年ではなくて、1900年と認識してしまうということだった。各所が念入りに点検をした結果、実際に年が明けてみたら、さほど大きなトラブルは無かったと記憶している。

 それにしても、その程度のメモリーを節約しなければならなかった時代というのは、よほど古い時代だと思う。逆に考えれば、そんな時代(世紀末を現実問題として意識できない時代)からコンピュータが運用されていたわけだから、それはそれですごいことだと思う。

 懐かしい電卓をまた手に入れて、2000年問題などと言う懐かしい話を思い出し、昔の技術に思いを馳せた。やっぱりレトロ趣味は面白い。


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