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1975年プロ野球ファン手帳 [雑文]

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 僕が小学校6年生のとき、1975年の話である。従姉のCちゃんに野球観戦につれて行ってもらった。その日、お袋がわざわざ小学校の教室まで迎えにきて、早退したのを覚えている。野球を観に行くから早退とは言えなかったので、もっともらしい理由をつけるために、お袋が芝居をしたのだった。千葉県市原市から、水道橋の後楽園球場(現在の東京ドーム)までは、電車で2時間以上かかるから、試合開始から観戦するために、そうしたのだろう。

 Cちゃんは、僕より6つ年上なので、当時高校3年生、大洋ホエールズのファンだった。彼女は昔から、あまり人付き合いをしない性格の人なので、野球観戦も、普段は一人で行っていたのだと思う。僕は巨人ファンだったのだが、実は、さほど熱心に見ていたわけでもない。ただ王さんの一本足打法は大好きだった。ねじりのエネルギーをため込んで一気に放出するようなあの動きにはしびれた。ホームランを打ったときももちろんだったが、空振りしたときでさえかっこよかった。

 どういうわけで、Cちゃんが僕を連れていってくれたのか。いきさつは、よく覚えていない。でも想像するに、親戚が集まったときになんとなく、伯母さん(Cちゃんのお母さん)あたりが、「Cが大洋の○○選手に夢中になっていて、しょっちゅう一人で野球を観に行っているのよ」なんていう話がでて、それを聞いた僕が「いいな~」と羨ましがって、伯母さんが「じゃあCに連れて行ってもらいなさい」などと話が進んだのではないか。そんな気がする。

 これも想像なのだが、球場について、Cちゃんは、試合開始前に、僕になんやかんやと世話を焼いて、飲み物とか食べ物とかいろいろ買ってくれたのだと思う。そのときにCちゃんが僕に「ファン手帳買う?」と聞いたのだった。僕は「いや、いいよ」と断った。理由は、ファン手帳なるものがどんなものなのかもわからなかったし、あまりいろいろと面倒を見てくれるので、ちょっと恐縮してしまっていたのだと思う。

 試合は、残念ながら、僕の大好きな王さんは、怪我のために休場していた。どんな試合だったのかも思い出せない。でも、なぜかずっと記憶に残ったのは、「ファン手帳買う?」というCちゃんのあの言葉だった。ときおり思い出しては、「あのときのファン手帳というのがどういうものだったのだろう」と気になっていた。ただし、だからといってそれをわざわざ調べるほどのことでもなかった。そもそも調べようにも調べる術が無かった。

 それから44年の歳月が過ぎた。世の中は便利になり、インターネットが発達し、オークションサイトなんてものが出来、昔懐かしいものが容易に入手できるようになった。ある日ふと、このファン手帳のことを思い出し、ヤフオクで検索してみたところ、1975年のファン手帳が出品されていた。当時の値段で100円だったが、「4000円即決」で出品されていた。1週間ほどじっくりと、他の出品を比較したりなどして考えた。そしてとうとう落札してしまった。44年前のものにも関わらず保存状態が非常に良く、4000円という価格にもまあ納得した。

 さて、これがどんなものだったのか。一言で言うなら、これはデータ集だった。昨シーズンの成績(バッターなら打率とか打点とか、ピッチャーなら完投数とか勝率とか)や、各選手の出身校とか生年月日とか身長体重とか。そんなことがびっしり書いてある。現実問題として、これを当時、小学校6年生のときに買ってもらったところで、猫に小判だったと思う。しかし、今、この歳になって見てみると、いろいろと発見があって面白い。

 まず、表紙、背表紙に、巨人の長嶋監督(当時)、ロッテの金田監督(当時)の写真がある。
01表紙.jpg
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 中のページには、知る人ぞ知る選手達の写真がたくさん写っている。そういえば、ここ2~3年で、往年の名選手が結構、亡くなったな、と思い出し、ネットで調べてみたが、ざっと下記の通りだった。
星野仙一 2018年1月4日逝去
衣笠祥雄 2018年4月23日逝去
金田正一 2019年10月6日逝去
野村克也 2020年2月11日逝去

 僕と同年代の諸兄にとっては、さぞかし懐かしい写真だろうと思うので、いくつかページを見繕って載せておこうと思う。
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04中日巨人.jpg
05大洋広島.jpg
06太平洋南海.jpg
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 まあとにかく、これで、またひとつ、青春の忘れ物を取り戻した。

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