SSブログ

「紫電」 タミヤvsハセガワの研究(3) 操縦席 [キット]

 操縦席を作ってみた。ここだけで、さっそく違いが現れている。この部分、ハセガワの方が自然な印象を受ける。この機体の実物を見たこともないし資料も手元にないけれども、ハセガワの方がタミヤに比べて、造形が精密で、実物らしい印象を受けるのだ。なお、説明書によるとタミヤの方が塗装の指示が細かいが、適度に省略した。

 写真①は後ろから前の計器板を見たところ。ハセガワは、計器板の細部をデカールで表現できるようになっている。せっかくだからデカールを使ってみたが、デコボコの面にデカールを張るのは難しい。マークソフターも上手に使いきれず、シルバリングが出てしまった。なお、タミヤは塗装のみ。ここはハセガワも最初から塗装にした方がよかった。デカールを使うなら、表面を平らに仕上げてからの方が良さそう。

 
 写真②。ペダルの部分だが、ハセガワには、足を突っ込むフレーム状の物があるのに対し、タミヤにはそれがない。
 次に側面の壁。ハセガワは、側面にわざわざ壁をつけて、操縦席を囲んでいる。タミヤにはそれがない。この理由は、次の工程を仮組みしてみてわかった。胴体に操縦席を入れたとき、タミヤの方は結構な隙間が見える。ハセガワの方が隙間が見えない。紫電の胴体は太いからこうこうことが起こるのだと思う。主翼をつけた時点で光が透けなくなるので、この隙間は目立たなくなる。よって、タミヤはこれを妥協した、ハセガワはこだわりを残した、ということなんだろう。

 
 写真③。ハセガワには、シートの右側にレバーがある。タミヤにはない。
 それからシートの厚み。ハセガワは薄い、タミヤはぶ厚い。タミヤは、このぶ厚さによって、だいぶ精密さがそがれている。これには深い訳がありそうだ。

 最初にタミヤの方が部品点数が少ないようだと書いた。(実際の部品数を数えていない。あくまでも、パッと見た印象)けれども、よく見ると、タミヤの方はランナーに対する部品のレイアウトの効率がいい。この効率の良さによって、キット箱に部品を入れたとき、部品が箱に丁度良く収まる。良く見ると、タミヤは主翼や胴体のような大きな部品の近くに小さな部品を、要領良く配置している。これに対して、ハセガワの部品のレイアウトは、胴体や主翼の周りがガラガラに空いていて、小さな部品は小さな部品専用のランナーの上に作られている。箱を開けたとき、ハセガワは、袋の中に窮屈そうに、ぎっちりと部品が詰まっていた。

 タミヤのような要領のよいレイアウトをした場合のリスクとしては、大きな部品と小さな部品で成型条件を変えることができないということだ。「細かい部分にどうしてもプラスチックが流れこまない」という問題が発生した場合、流れをよくするために、細い部分や薄い部分を太く、または厚くする、というような妥協が必要になる場合もあると思う。このシートの厚みはその結果なのではないだろうか。(やけにバランスが悪いと思う)

 このテーマにしたときの最初の予想では、タミヤの一方的な優勢で進むと思っていた。(何しろ、模型業界のドンだから) だけど、どうもそうでもなさそうな雰囲気。これは面白いことになってきたぞ。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 2

どろぼうひげ

なるほど~
メーカーによって、結構違うものなんですね
しかし、そこまで洞察されるとは流石です(ーー;)
ボクなんて飛行機だったらハセガワ!程度にしか考えていませんでした(^_^*)
by どろぼうひげ (2007-08-06 21:35) 

ひぐらし

どろぼうひげさん、こんにちは。そうなんですよ。これほど違うとは、僕も予想外でした。普段は、ひとつのキットしか作らないけれども、こうやって比較してみると、いろいろなことが見えて楽しいってことに気づきました。なお、洞察とおっしゃいましたが、何の根拠もない、単なる想像の域を出ていません。だから、メーカーさんから、「違う!」というお叱りを受けるのが結構怖かったりします。(笑)
by ひぐらし (2007-08-08 00:36) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。