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夏休み特別企画 東京湾一周徒歩の旅(4) [雑文]

(最終日)
 前日の天気予報では、「台風9号は明日の午前中に雨を降らせ、午後から晴れる」と行っていた。翌日8月11日、4:00頃に起きたら雨は上がっていた。歩く距離はあとわずかだから、今すぐに出発すれば、雨が降る前に実家に着くかもしれないと思い、5:30にホテルを出発した。ここから先は、よく知っている道で、地図が無くても歩ける。3時間歩き、8:30に実家についた。2日半に渡る苦闘がようやく終わった。最終日は3時間で、あっけなく終わってしまった。

 最初計画したときに想像していたゴールのシーンとは大分違う。僕は24時間テレビのランナーのように、夕暮れの中を、ZARDの「負けないで」がBGMに流れ、涙を流しながら、自宅にゴールインする姿を勝手に想像していた。しかし、最終日の行程はたったの3時間。あんまり疲れることなく、朝早く着いてしまった。しかも、「ただいま」と玄関に入ると、お袋が「誰か入って来たから、また宗教の勧誘かと思った」だって。

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 さて、今回も、いろいろと学んだことがある。すでに書いたことと重複する部分もあるが、改めてメモとして残しておきたい。

■計画
 やはり、歩く道のりを詳細に測定して、それを概ね4:3:3くらいの割合で分ければ、良かったと思う。それから、1日に歩く時間はなんとか10時間以内に抑えた方がよさそうだ。

■装備
 レインスーツ、ザックカバー、ナイフ等の道具類、薬品類は、山と同じものを持って行った方が無難である。靴下も、山歩きと同じく、5本指の靴下の方がよい。不要な装備は、ガスコンロ、スパッツ、ヘッドライトなど。

■トイレと給水
 道端にトイレなど、そうたくさんあるものではない。ペットボトルの水を自販機で買って飲むよりも、山でするように、ハイドレーションシステムで少しずつ飲んだ方が良いと思った。

■地図について、
 地図は、地図帳をそのまま持参したため、ザックの他にショルダーバッグが必要になった。しかし、これは肩凝りの原因になった。必要なページはコピーしてチョッキの内ポケットに入れておけば、楽だったはず。いつも山でやっていることだ。

■路面の硬さ
 これは山よりもアスファルトの方が遥かに厳しい。足の他の部分が平気でも、足の裏が痛くて歩けなくなる。履きなれた靴でも、長時間歩けばマメができる。ならば、履き慣れない靴だったらどうなっていただろう。

■歩くペース
 山登りは、傾斜しかない。でも平地は階段はあっても傾斜はほとんどない。だから歩くペースが普段の生活習慣と変わらなくなる。僕の場合は、普通の人よりも速足で歩く癖がある。このペースで10時間以上歩き続けると、足の裏にかかる負担は山よりも厳しくなってしまうようだ。

■疲労する部分
 今回、足の関節(股関節、膝関節、足首)が痛むようなことはなく、痛みを感じたのは、あくまでも足の裏だった。足の裏のダメージをなんとか防ぐことができれば、二日目は、もっと歩けたのではないかと思う。皮膚のマメを防ぐ方法、足裏全体のショックを和らげる方法について、次回のリベンジまでに考える必要がある。

 総合的に観て、明らかな準備不足だったこともあるし、予想できなかったこともある。でも、よい経験をした。次回歩くときは、今回よりももっと要領よくできると思う。次回こそ、ギブアップ無しで歩き通したい。

 終わりに、苦楽を共にしたウオーキングシューズと地図を載せておく。ありがとう。楽しかったよ。
1.jpg

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【後日談】
 正直いうと、実家に帰って、1日後に左ひざの内側が痛んだが、トクホンを貼って寝たら治った。その次の日にショルダーバックによるものと思われる肩凝りが来たが、これも軽微なもので姪にマッサージしてもらって治った。だから、実質、痛んだのは足裏だけと言ってよいと思う。

 実家に帰ったあと、結局、姉とキャンプには行かなかったが、一緒にちょっとしたウォーキングに出かけた。場所は、上総国分寺と国分尼寺の跡。かつて奈良時代、聖武天皇が「鎮護国家」、すなわち仏教を政治に取り入れて、日本の各地に、国分寺と国分尼寺を建てて国家の安定を図った、と歴史の教科書に書いてある。その寺の一つが、我がふるさとの実家のすぐ近くにある。そういう地名があることは知っていたが、歴史上の国分寺のことだったとは、今まで全く知らなかった。姉のおかげで、一つ利口になった。「なんで、”寺”と”尼寺”があるんだ?」と姉に聞いたら、「お寺で男女が一緒だと邪念が入るからじゃない? でも時々合コンとかやってたんだよ、きっと」と、姉にしては珍しく、気の利いた冗談を言った。

 夏休みが終わって、自宅に戻ったときに利用したのは、アクアライン高速バス(五井⇒横浜)とJR東海道線(横浜⇒辻堂)。かかった時間は2時間である。きちんと歩けば、おそらく丸三日かかる距離が、普通の交通機関で2時間で済むということが、これほどすごいことに思えたのは初めてだった。そういえば、去年の秋に、”のぞみ”で京都に行ったときは、東京から京都まで2時間半くらいだった。科学技術の進歩のありがたみを本当に実感するために、たまには昔さながらの経験をすることも必要だ。そのことが、新しい発見につながり、それがまた非常に楽しいものだ。人生を楽しむためには特別な工夫は要らない。少しの冒険心があればそれでよいのだと思う。(おわり)
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コメント 4

くるみ

ひぐらしさん、こんにちは♪
ご無沙汰しています。
富士登山や湾岸一周、すごいですね~(@@)
楽しく読ませて戴きました。
そして、雨男だったのですね~、それであの快挙は尊敬です。

by くるみ (2009-09-09 17:51) 

ひぐらし

くるみさん、こんにちは。すっかりご無沙汰しておりました。お仕事の方も順調のようで、2周年おめでとうございます。
 こちらのブログも、おかげさまで、もうすぐ11万アクセスです。細々と続けております。テーマは一貫しませんが、好きなこと書いてます。
 ちなみに快挙ってほどではありません。要は失敗だったんですよ。(笑)

 
by ひぐらし (2009-09-10 19:41) 

くるみ

ひぐらしさん、こんにちは♪

>2周年おめでとうございます。
ありがとうございます。
こちらこそ細々です~。

そして、失敗だなんてとんでもない。
読ませて戴いてものすごく励まされました。
プロセスを楽しむことや、やれるところまでやり抜く(でも限界の見極めも忘れない)ことの大切さを沁み渡らせていました。
そして久々だったので、心地いい文体にも浸らせて戴きましたよ。
ひぐちゃん、っていうのもいいですね~(最初わからなかったけど;;;)
by くるみ (2009-09-12 01:06) 

ひぐらし

くるみさん、あいかわらず、褒めるのがうまい。照れる~。
(*^。^*)

僕の文を喜んで読んでくれる人がいるのは、幸せなことです。
「心地いい文体」ってのも、光栄の至り。ありがとうございます。
by ひぐらし (2009-09-12 12:15) 

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