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剱岳に登る(5) [登山]

 剱岳の頂上は、狭くて、石がごろごろしていて、人が大勢いて混雑している。そこに座ってお弁当を広げて・・・というような快適な場所ではない。しかも次から次へと登山者が来るのだから長居は無用。記念写真を撮ったら早々に下山した方がいい。

 下の写真は、下山ルートのカニのヨコバイの梯子を過ぎたあたり。タテバイよりもヨコバイの方が難しいと言われるようだが、印象はあまり変わらなかった。ただ一つ、最初の一歩の踏み出しの足場が見えないという特徴があって、これは先頭を行くNさんが位置を探り出してくれたので、それを後続へ伝言して行った。
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 映画の中で、長次郎の言うカッコいいセリフがある。「五年前、古田さんが剱岳に登ろうとして登れませんでした。今度もし柴崎さんが登れんでも、またいつか誰かが登ろうとやって来るやろねえ。誰も行かんかったら道はできんちゃ。柴崎さんとわしらが登りゃあ道は出来ます。剱岳はきっといつか誰かが登らにゃあいかん山なんじゃないがでしょうか」

 ~誰かが行かねば、道はできない~   この言葉は映画のキャッチコピーにもなった。この山に登って「本当にそうだよな」と思った。

 昔 “この山に初めて登った人” = “登れるルートを見つけた人” がいた。そして安全用の鎖をつけてくれた人がいた。今、登山ルートや道標を常にメンテしてくれる人がいる。出版社は詳細な登山地図やガイドブックを作ってくれる。山小屋は快適な宿泊設備を提供してくれる。”道ができる”とは、そういうことなのだ。
 それに加えてリュックや登山靴や合羽だって格段に進歩している。そうして今、僕らが剱岳に登れるのである。先駆者や行政や関連産業の仕事に思いを馳せると、頭の下がる思いである。

 剣山荘に下りたのが、12:10。この時点で2時間遅れ。帰り支度をして12:30に室堂ターミナルへ向けて出発。16:30の最終のバスに乗る予定だったが、やはりちょっと予定の立て方に無理があったようで、間に合わなかった。最悪の場合、ターミナルで野宿する覚悟を決めた。

 室堂ターミナルに隣接したホテル立山に行き、「バスに乗り遅れたから4人なんとか泊めてもらえないか」と頼んだところ、幸運にも空き部屋があり、しかも格安で泊めてくれた。やはり立山のホテルだけあって登山者に優しい。緊急避難を理解してくれている。山小屋みたいなホテルだ。
(剣山荘に入ったときは「ホテルみたいな山小屋だ」と思った)(^_^)

 部屋に入って、ホッとする4人。
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 大浴場で汗を流し、ホテルの豪華な夕食を食べ・・・。
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 ・・・柔らかい布団でぐっすり眠った。
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 翌朝7:30にチェックアウト。下の写真はお世話になったホテル立山。
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 あとは立山黒部アルペンルートを通り、扇沢経由で一日かけてゆっくり帰宅。結果2泊3日の山行になった。首都圏からだと、これくらいが無理のない計画だと思われる。

 剱岳に登ることが目的だったので、これが達成できて満足なのは当然としても、その他に立山黒部アルペンルートに初めて乗り、黒四ダムを初めて見たことで、観光としても楽しかった。また宿泊した山小屋「剣山荘」は今まで泊まった山小屋の中でも最高レベルだったと思うし、また困っていたところを助けてくれた「ホテル立山」のサービスにも大満足である。

 もう一つ。今回の山行は、姉の所属する山岳会の定例山行のメンバーに加えてもらったわけだが、Iさんの他の登山者に対する配慮とか、Nさんのリーダーシップに触れ、大変勉強になった。自分は今回の山行で、武道に例えるなら、ようやく入門期を脱して初段レベルになったような気がしているが、Nさん、Iさんは、五段くらいで弟子がいっぱいいそうな気がする。(仲間に入れてくれてありがとうございました)

 いい旅だった。下は剣山荘で買った記念バッジ。
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*****
【メモ】
 今回の記事を書いている過程で、「つるぎ」を表す漢字には、異体字がいくつかあって、それぞれの人がこだわりを持って「これ」と決めた字体を使っていることがわかった。興味深いのでメモとして書いておく。このブログの記事はこだわりを尊重して使いわけている。
■剱・・・正式な地名。「剱岳」「剱御前」「前剱」「剱沢」など。
■劒・・・小説のタイトル「劒岳<点の記>」。
■劔・・・映画のタイトル「劔岳<点の記>」。
■剣・・・(常用漢字)山小屋の名前「剣山荘」。
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