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「紫電」 タミヤVSハセガワの研究(10) 主脚の製作1 [キット]

 とりあえず、ハセガワの主脚を作ってみた。タミヤの方は、ちょっと改造をしてみようと思っているので、また次回。タミヤとハセガワで塗装の指示が違っていて、どっちを信用したらいいのかわからないので、ひぐらしオリジナルにしてしまった。(笑)

 紫電の主脚には、エピソードがある。この機体について何かしら文献を読んだことのある人にとっては、比較的なじみのある話だと思われるが、模型を作るにあたって、ちょっと悩んだ点なので、書いてみよう。

 第二次大戦の頃の軍用機はオール金属製の機体で、単葉の低翼機、つまり胴体の下側に一対の主翼がついたものが大半になっていた。ところが、この「紫電」は、中翼機、つまり主翼が胴体の中央付近の高さに取り付けられている。というのは改造のベースになった水上機の「強風」が中翼機だったのだ。水上機にとって何も問題にならなかった中翼構造は、陸上機に改造しようとした途端に大きな問題に直面した。通常の脚の長さでは、プロペラが地面についてしまうのだ。

 日本の単発の戦闘機では、車輪の付け根を主翼底面におき、収納するときは、内側(胴体側)に折り込む構造がほとんどである。この構造の場合、中翼機は、低翼機よりも長い脚が必要になるわけだが、脚を長くすると、その分、脚の付け根が外側に行き過ぎてしまう。外側に行けば行くほど主翼は薄くなる。ある程度の厚さがなければ、脚を収納できないし、第一、機体の全重量がかかるのだから、強度の余裕のあまりない領域に脚をつけるわけには行かない。しかし機体を全て最初から設計する余裕があるくらいなら、最初から強風の改造をしようなどとは思わないだろう。

 そんな事情があって、紫電の主脚は伸縮式の構造を採用することになる。つまり着陸するときは、脚が長く伸びる。離陸したら、脚を短く縮めて収納する。下の写真のように、紫電の主脚のカバーは伸びたときに分割されて隙間があく。つまり、この隙間が伸び代になっているわけだ。機械の構造なんて単純であるほどよい。この脚の可動部の多い複雑な構造は故障多発の原因になり、このことは、後に紫電の改良型「紫電改」を開発する一つの要因になっている。

 伸縮式でない普通の脚では、脚柱にはブレーキパイプがついているくらいのシンプルなものだが、紫電の場合、伸縮させるための油圧パイプやら、メカニカルな位置センサとかがごちゃごちゃとついている。要するに、脚は紫電の特徴を表現できるところなので、ここをぜひディテールアップしたいと思って資料を探した。ところが、残念ながら、私の探した範囲では、遠くから写した小さな写真はあっても、接近して撮影した、形のはっきりわかる資料がみつからなかった。ごく最近発売された「Master Modelers Vol.52」に紫電の作例が載っていて、主脚のディテールアップをしていたが、別の本の当時の写真をみると、なんだか、もっとごちゃごちゃしているように見える。あ~~実物が見たい!! でも、「紫電改」が保存されている場所はあるけど、「紫電」はないみたいだ。

 悩んでいてもしょうがないので、もうパイピングは諦めることにした。(笑) でも最低でも伸縮については、こだわりたい。で、ハセガワでは着陸状態を作ったが、タミヤでは脚が縮みきった状態を作ってみることにする。


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