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INDY JAPAN サーキットマラソン2010 (1) [マラソン]

 7月にRUNNETで面白い情報をみつけた。栃木の茂木というところに、「ツインリンクもてぎ」という自動車レースのサーキットがあり、そこで9月19日にINDY JAPANレースという自動車レースがある。そのプレイベントとして、一週間前の9月12日にマラソン大会があるという。面白そうなので即、申し込んだ。

 栃木には、友人のN添さんがいる。彼とは5年ほど前にフルート仲間だった。アンサンブルで何度も一緒に発表会に出た仲である。以前は、神奈川に住んでいたが、今では転職して故郷の栃木に戻っている。遠いが、久しぶりに彼に会いたくなり、こういうわけだが泊めてくれと頼んだところ、快くOKしてくれた。9月11日に前泊。ご両親が、焼肉で歓迎してくれた。夜は2階の寝室をあてがわれ、まるでホテルに泊まったような快適さだった。

 当日、6時に出発。N添さんの実家から、ツインリンク茂木までは車で2時間の距離だった。必ずしも近くはない。よく調べもせずに、同じ栃木だからということで安易に「泊めてくれ」なんて言ってしまって申し訳なかったが、彼はその日一日、僕を実によくサポートしてくれた。なにせ、僕は自分が写真好きだから、やたらたくさん写真があるのだが、いつも自分がカメラを持っているから、自分の写りこんだ写真がほとんどない。一眼レフカメラをN添さんに渡し、今日1日、好きなように撮ってくれと頼んだ。(彼は連写機能を駆使して山のようにたくさん写真を撮ってくれた。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。素人写真はやっぱりこれが一番いい)

 会場について受付で、参加証を渡したら、おかしなことを聞かれた。「今日は走りますか?」と言う。当たり前ではないか。走りに来たのだ。何を言っているのかわからないまま、「はい」と答えると、ゼッケンや記念品をくれた。でも気になったので、「今のはどういう意味ですか」と聞いてみた。すると「気温が高いので棄権する方もいらっしゃいますので、念のために聞いてみました」とのことだった。なるほど、そういうことか。理解はしたが、それにしても不躾な質問である。せめて「気温が高いですが、走りますか?」と聞いて欲しい。単に「今日は走りますか?」と聞かれたら、いろんなことを想像してしまうではないか。「このサーキットで事故死したドライバーの霊に憑かれて早死にします。それでも走りますか」とか、「気温が35℃を超えると、路面が50℃近くなって、80%の人が熱中症で死にます。それでも走りますか」とか。

 9時から開会式。司会の脇に綺麗なお姉さんがいた。これは「ツインリンクもてぎエンジェル」というコンパニオン。おお、つまりレースクイーンではないか。さすがはレーシングサーキットである。ゲストランナーは、一週間後のINDY JAPANで走るレーシングドライバーの武藤英紀氏。それからタレントの猫ひろし。最近見かけないなと思ったら、こういうことしてたんだね。

 しかし、あのエアロビクスみたいな準備体操には参った。ひぐらしが音楽に合わせて体を動かしているところなんぞは、絶対に人様に見せられない醜態である。あれがあることが事前にわかっていたら、開会式なんかボイコットしてた。おっさんに踊りをやらせるんじゃない。ラジオ体操ならできるよ。
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 僕の出た10kmのレースは、10時30分スタートだった。下の写真はスタートのシーン。レースクイーンがサインボードでスタート1分前を告げている。しゃれた演出である。僕はかねがねレースクイーンって何なんだ?と思っていたが、今回、レーシングサーキットという場所に実際に行ってみて、ようやくその存在意義が理解できた。N添さんの言葉を借りれば、彼女達は「花」なのである。自動車レースってのは男ばっかりの世界で、しかも自動車が爆音立ててものすごい勢いで走り、たまに事故が起きたりする。殺伐とした世界である。サーキットに立っただけで、そのことは感じ取れた。ならば、せめて花くらいは欲しいではないか。死と隣り合わせの過酷な状況でも、花を見つければ、レーサーたちの心にほんの一瞬でも慰安が得られるではないか。彼女たちの果たす役割は実に大きいのである。理解できない人は、一度サーキットのコースに立ってみるといい。
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 さて、ツインリンクもてぎのオーバルコースは1周2.4kmある。武藤選手によれば、インディのレーシングカーはこの一周を25秒くらいで走ってしまうそうである。時速350km! (すげー。) 今回のマラソンの10kmレースは、このオーバルコースを4周ちょっと走るのかと思っていたら、そうではなかった。途中から、オーバルから外に出ることで、一周5kmのコースが作ってあり、これを2周する。なぜこうしたかと考えてみるに、一つには、周回遅れが出やすくて、ごちゃごちゃに入り混じって走りにくいこと、それから、4周もしているうちに、自分が何周走ったかがわからなくなってしまう人が出ること、などが考えられる。僕なんか多分そうなる。2周なら間違えることもなかろう。
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 まず一周目。3km地点で体に異変を感じた。なんと胸にゼッケンを止めた安全ピンが、ちょうどチクビのところに当たってしまい、こすれてヒリヒリする。しかもご丁寧に両方である。念のために強調しておくが、これは偶然であり、狙ってそこにつけたわけではない。「い、痛い・・・」 汗で肌に張り付いたシャツを、指でつまんで持ち上げて走ってみたが、それでは腕が振れない。疲れる。走りながら、高校時代のあいつを思い出した。

 僕は高校の頃、柔道部に入っていた。柔道には「打ち込み」という練習方法がある。これは投げ技の崩し、掛かり、投げのうちの、掛かりのところまでを何度も繰り返すものである。同級生にA武という奴がいた。こいつが「体落とし」(たいおとし)という技の打ち込みをやるとき、右の吊り手の肘のあたりが、ちょうど、僕の左のチクビを擦るのである。これを何度も何度もやるので、しまいには、この部分が爛れてしまった。痛くてしょうがないので、テープを貼って保護したが、汗ですぐに剥がれてしまう。どうやら相性が悪かったらしい。なぜなら、A武の体落としでそんな状況になってる奴は他に誰もおらず、僕だけだった。

 この馬鹿馬鹿しい痛みをこらえつつ1周目のラップ。写真に写るなら、情けない表情は見せられない。
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 このコース、オーバルの外では、アップダウンが非常に激しい。上りは純粋にパワーとスタミナの世界だが、下りは放っておいても加速するから、ブレーキングの巧拙が鍵になる。ブレーキをかけるときには膝を伸ばすための筋肉を使う。この筋肉に負担をかけると膝が痛むのである。でも僕の場合これは得意なのだ。下りに来るたびに20人くらいゴボウ抜きした。富士山の御殿場口の下りの「大砂走り」みたいに、ぐんぐん進んだ。このときは気分がよかった。ただし、そのかわり、上りで抜き返されていたから同じことである。このゴボウ抜きを平地や上りで出来れば完璧なんだが。

 ゴールまであと1kmというあたりで欲がでて、1時間切りにチャレンジしてみようかと思い、スピードを上げた。そしたら途端に動悸が激しくなり、気分が悪くなってしまった。人間のエンジンは心臓なんだ。回転のスピードを上げようとすれば、いつもよりも強い負荷がかかって限界を超えてしまう。下手をすると心臓発作をおこしてあの世行き。(同じ死ぬのでもサーキットでは自動車事故で死ぬべきであろう。徒歩で死ぬ場所ではない)心臓は、地道に鍛えることで少しずつ強化されていくものであって、競技の当日走っている最中に、いきなり強くなるものではない。本番で、気まぐれにいつもと違うことをやる、などという実力は僕には無いのだ。

 さてフィニッシュ。タイムは1時間00分23秒、今年の自己ベストである。ただ噂ではこのコースは10kmよりも400mくらい短いようだ。僕の速さなら、3分くらいに相当する距離である。これを考慮すると、速さはあまり変わっていない。でも、今回はたぶんビリッケツではなかったと思う。そう信じたい。遅いのは構わないが、ビリはやっぱり、ちょっと恥ずかしい。

 このあと、N添さんと、「Honda Collection Hall」というHONDAの博物館に立ち寄った。

(つづく)
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るるぶぅ

ヒットではなく、ホームランです。ゲラゲラ笑いながら読ませていただきました。レースクィーンになってみたかったです(笑)
by るるぶぅ (2010-09-18 21:55) 

ひぐらし

るるぶぅさん、こんにちは。ありのままを書いただけなのですが、楽しんでいただけたなら嬉しいです。でも、ゲラゲラ笑うほどかなあ(笑)
by ひぐらし (2010-09-19 10:51) 

N添

そうそう褒めてもらえると、泊めた甲斐があったというもの。

写真も、思ったよりはちゃんと撮れていたようで安心したよ(^^)。
良いカメラだと、素人が撮ってもカメラがサポートしてくれるということだ。

ところで・・・おねえちゃんの良い笑顔の写真は、上手く撮れてなかったかな?あるいは・・・引き伸ばして壁に貼ってあるとかw?
by N添 (2010-09-19 16:14) 

ひぐらし

N添さん、こんにちは。当日はお世話様でした。ファーストラップの写真は、20枚連写の中から、一番まともな顔をしたのを選んだんですよ。でも、ゴールの写真は、顔が情けなくて駄目。カメラのせいでもカメラマンのせいでもない。一重に被写体の責任です。
 もてぎエンジェルの写真なんですが、望遠で一枚いいのがありました。でも、彼女たちは公式サイトまであるタレントさんですから、露骨に載せてしまうと肖像権侵害で怒られそうなので、一応ちょっとだけ気を使いました。引き伸ばして部屋に飾るなんてことはもちろんしてません。(笑)
by ひぐらし (2010-09-19 20:18) 

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