赤岳に登る(4) [登山]
■2日目(10月9日)その参
赤岳の頂上から西側を望む。阿弥陀岳と、その中間の中岳が見えている。
ところで、前の記事に載せた写真を再掲して、今回辿った道を矢印で書いてみると下のようになる。
赤岳に北側の斜面から登り、下りは西側へ下る。赤岳と中岳の間の鞍部には特別な名前がつけられていないから、写真では(鞍部)と記入した。二つのピークの間が馬の鞍のような形になることから、鞍部と呼ばれるが、山岳用語で「コル」という名前がついていることも多い。中岳と阿弥陀岳の間の鞍部には、「中岳のコル」という名前がついている。なぜ赤岳側にはないのだろう。
その(鞍部)に降りて赤岳を振り返る。
前には中岳。
さて、最初の予定では、中岳を過ぎたら、そのまま、阿弥陀岳に登って、また中岳のコルまで戻り、そこから下山しようと思っていた。とりあえず、中岳から見た阿弥陀岳の写真は下の通り。
この赤い四角で囲んだところを拡大してみると、梯子が見える。これを見た途端にやる気が失せた。横岳と赤岳を登ったあとで、この急傾斜に登れるほど若くはない。阿弥陀岳は逃げない。またのお楽しみにしておこう。ということで、行者小屋を経由して赤岳鉱泉に下山した。無理をすれば登れたのかも知れないが、登っていて楽しくないのでは意味がない。こういうときはさっさとやめるに限る。
心が折れたついでに、急斜面に関するウンチクを垂れてみる。登山をしている人なら経験的に誰でも知っていることである。
通常我々が使っている階段というもの、例えば駅でもいいし、デパートや会社などの建物でもいい、とにかく普通の階段というものは、だいたい30°くらいの傾斜で作られている。これは、目測で大体わかる。建築業界の人が階段を設計するときは、大体30~35°くらいに設計するのだそうだ。
ところが古い建物には、たまにびっくりするような急な階段があることがある。傾斜が45°くらいになると、もう、かなり危険を感じる。普通の人なら、手すりにつかまらなくては怖くて、上り下りができないはずである。うちの会社には昭和30年代に建てた建物が一部残っていて、ごく一部にこういう階段が残っている。建築基準法では56°までは許されているそうだが、こうなると、もはや階段というよりも梯子のイメージであろう。
下の写真は、早朝に硫黄岳側から見た阿弥陀岳である。中岳のコルから山頂に向かう斜面の傾斜が目測で平均45°くらいある。ということは、上記のちょっと怖い階段に相当するくらいだから、まあまあ登れそうだなと軽く考えてしまいがちだが、さにあらず。平均が45°ということは、実際は、30°のところもあれば60°のところもあり、その平均が遠目に見ると、だいたい45°に見えるということなのだ。逆な言い方をすると、遠目に見て45°くらいの斜面の山は、現場に行くと45°を超える絶壁みたいな場所がたくさんあると思って間違いない。ただ、そうであってもちゃんと鎖が張ってあったり梯子をかけてあったりなど、整備が行き届いていれば登ることは可能なのである。(体力さえあればの話だが)
赤岳の頂上から西側を望む。阿弥陀岳と、その中間の中岳が見えている。
ところで、前の記事に載せた写真を再掲して、今回辿った道を矢印で書いてみると下のようになる。
赤岳に北側の斜面から登り、下りは西側へ下る。赤岳と中岳の間の鞍部には特別な名前がつけられていないから、写真では(鞍部)と記入した。二つのピークの間が馬の鞍のような形になることから、鞍部と呼ばれるが、山岳用語で「コル」という名前がついていることも多い。中岳と阿弥陀岳の間の鞍部には、「中岳のコル」という名前がついている。なぜ赤岳側にはないのだろう。
その(鞍部)に降りて赤岳を振り返る。
前には中岳。
さて、最初の予定では、中岳を過ぎたら、そのまま、阿弥陀岳に登って、また中岳のコルまで戻り、そこから下山しようと思っていた。とりあえず、中岳から見た阿弥陀岳の写真は下の通り。
この赤い四角で囲んだところを拡大してみると、梯子が見える。これを見た途端にやる気が失せた。横岳と赤岳を登ったあとで、この急傾斜に登れるほど若くはない。阿弥陀岳は逃げない。またのお楽しみにしておこう。ということで、行者小屋を経由して赤岳鉱泉に下山した。無理をすれば登れたのかも知れないが、登っていて楽しくないのでは意味がない。こういうときはさっさとやめるに限る。
心が折れたついでに、急斜面に関するウンチクを垂れてみる。登山をしている人なら経験的に誰でも知っていることである。
通常我々が使っている階段というもの、例えば駅でもいいし、デパートや会社などの建物でもいい、とにかく普通の階段というものは、だいたい30°くらいの傾斜で作られている。これは、目測で大体わかる。建築業界の人が階段を設計するときは、大体30~35°くらいに設計するのだそうだ。
ところが古い建物には、たまにびっくりするような急な階段があることがある。傾斜が45°くらいになると、もう、かなり危険を感じる。普通の人なら、手すりにつかまらなくては怖くて、上り下りができないはずである。うちの会社には昭和30年代に建てた建物が一部残っていて、ごく一部にこういう階段が残っている。建築基準法では56°までは許されているそうだが、こうなると、もはや階段というよりも梯子のイメージであろう。
下の写真は、早朝に硫黄岳側から見た阿弥陀岳である。中岳のコルから山頂に向かう斜面の傾斜が目測で平均45°くらいある。ということは、上記のちょっと怖い階段に相当するくらいだから、まあまあ登れそうだなと軽く考えてしまいがちだが、さにあらず。平均が45°ということは、実際は、30°のところもあれば60°のところもあり、その平均が遠目に見ると、だいたい45°に見えるということなのだ。逆な言い方をすると、遠目に見て45°くらいの斜面の山は、現場に行くと45°を超える絶壁みたいな場所がたくさんあると思って間違いない。ただ、そうであってもちゃんと鎖が張ってあったり梯子をかけてあったりなど、整備が行き届いていれば登ることは可能なのである。(体力さえあればの話だが)
なるほど。良い勉強になりますね。
とすると、松本城のあの階段はどのくらいの傾斜なんだろうか…。
恐ろしさを感じながら登った事を思い出しました!
by たけのこ。 (2011-10-26 19:07)
たけのこ。さん、こんにちは。勉強してくれて嬉しいです。階段の角度が約30°に決まったのは、たぶん長い歴史の中から経験的に決まったんだと思います。
ただ、お城の階段が急になっているとしたら、それは、ちょっとした「演出」も入っているかも知れませんね。強く印象つけるために。
by ひぐらし (2011-10-27 20:18)