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雲取山(2) [登山]

 奥多摩小屋は、素泊まりの小屋であり、予約は要らない。今回の計画を作った姉からそのことを聞いて、僕はちょっと心配になった。なにしろ時期がGWなので、登山客がたくさん押し寄せ、定員の2倍3倍なんてことになったら気を使ってしまって眠れない。念のために寝袋をもっていくことにした。

 奥多摩小屋に着いて中に入ると、若いお兄さんが「お泊りですか」と出迎えてくれた。宿帳を書きながら「GWに入ってから混んでますか」と聞くと、そうでもないという。この日も我々が最初だった。つまり我々の後に誰も来なければ貸切状態ということになる。(この晩は結局我々3人の他に、男性が一人だけだった)GWなのにそんなに空いているのが不思議で、「昨日の混み具合はどうでしたか」と聞くと、数人だったという。しかも「この小屋に泊まる人はあまりいないんです」と恥ずかしそうに言った。こんなことを言う山小屋スタッフは初めてである。全く商売っ気のないこの言葉が、非常に気に入ってしまった。

 この小屋は入口を入ってすぐのところに大部屋がある。素泊まりの小屋なので、食事は出ないが、各々が持参したものをここで食べられる。この日は、意外に寒く、お兄さんは薪ストーブを焚いてくれた。我々はそのストーブを囲んで夕食。ストーブの火をキープしてくれたお兄さんにもワインとつまみをおすそ分けした。築50年だというこの小屋は、古いことは古いが汚くはない。ぐっすりと快適に眠れた。

 山小屋の機能を改めて考えた。何を求めるかは、価値観の分かれるところだと思うが、僕は「よく眠れること」が最重要であると思っている。建物は新しいに越したことはないし、食事もおいしいに越したことはないが、ホテルではないのだから、さほど期待していない。しかし眠れない山小屋だけは困る。疲れがとれない状態で翌朝出発すれば事故につながるからである。山小屋では宿泊料を払って安眠・休息を買うのだと考えている。

 さて翌朝、大部屋の壁に、なんと星図が貼られているのに気付いた。
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 さらに書棚に、僕が中学生の頃に持っていた「反射望遠鏡の作り方」という本があった。懐かしい再会である。ついつい手にとって眺めてしまった。凹面鏡の研磨に関する本。憧れたんだよなあ。埃をかぶって、そこだけ時間が止まったような書棚だった。
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 どうやらこの小屋のオーナーは天文ファンらしい。奥多摩小屋のある場所は、七ツ石山と雲取山を結ぶ稜線にあり、視界を遮るものがない開けた場所である。(すぐ近くにヘリポートがあるくらいだ)星を見るのにいい場所だなと思った。

 小屋のある稜線から脇に3分くらい下ったところに水場がある。そこで水を汲み、予定よりも1時間遅れて6時に小屋を出発した。

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