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雲取山(4) [登山]

 今回、奥多摩に初めて行って気づいたことがあるので書いておきたい。登山道にある山小屋のトイレを3か所ほど使ったが、他の山域に比べて、衛生状態が悪い印象を受けた。お食事中の人にご迷惑がかかるので、詳細な描写は控えるが、便壺の中を覗き込むとビックリする。(これ以上はもう書けない)

 山のトイレを維持管理するのは地方自治体や山小屋の経営者の仕事であろうし、我々登山者は彼らの整備した山で遊ばせてもらっているのだと思えば、トイレが悪いから何とかせえ、などと言える立場ではない。しかし、山を観光資源として位置付けている自治体なら、登山者を観光客として考えそこに呼び込もうとする。つまり山をどれほど重要視するかで、登山の環境整備に差が出るのだと思う。その差に興味がある。

 例えば山梨県の南アルプス市である。そもそも市の名前からして、一種の覚悟を感じるではないか。「おらがとこには山しかねえずら」と言ったかどうかは知らないが、地域起こしをやろうと思えば、山に登山客を呼び込むのが一番手っ取り早いことだけは、地図を見れば明らかである。ならば山の環境整備にお金をかけるのは当然であろう。実際、甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳の登山口にあたる北沢峠には、僕は何度も行ったが、インフラは立派なものだと思う。

 それに比べて、東京は山が第一ではないのだろう。まあそりゃそうだ。大都会を抱えていれば、山のトイレを整備するより大事な事案がたくさんあるだろう。それぞれの自治体にそれぞれの財政事情があるから、東京を責めるつもりはない。

***
 我々が雲取山から下山した4月30日、富士山がユネスコの世界文化遺産に登録される見通しであるとのニュースがあった。こうなった場合、観光客(登山客)が大幅に増えることが予想される。過去の例では1993年に屋久島が世界自然遺産に登録されたとき、観光客が大幅に増え、自然破壊が進み、特にトイレのし尿処理の問題が深刻化したという。

 富士山はこれから、入山料を取った方がよいという意見が出ているらしい。基本的に僕も賛成なのだが、その辺の考えをちょっと書いてみたい。

 山に行くと、平地で生活しているときに無意識にしていることが簡単にいかなくなることがあるもので、それは簡単にいうと、ゴミの問題と排泄の問題である。そのうちゴミに関しては持ち帰ればよく、山に慣れていない人でも意識付け一つで比較的簡単に解決する。これに対して排泄の問題は難しい。町で生活しているときは、下水処理のインフラが整っているおかげで、自分の排泄物がどこに行くのかを全く気にする必要がなくなっている。しかし山に行けば、事情は全く異なる。詳しくは「富士山頂トイレ」で検索されたい。

 登山者の排泄物を処理するのにはお金がかかる。お金がなければトイレは荒れる。つまり富士山のトイレを充実させる目的のために、ぜひ入山料をとるべきだと思うのだ。平成24年の夏季に富士山に登った人は30万人だったという。世界遺産に登録されれば、登山者は今より増えるだろう。そうすればトイレの問題はさらに深刻化する。入山料を取ることによって登山者数が増えすぎるのを抑える効果もあると思う。

 では値段はいくらにするか? ざっと考えて5000円~10000円の間ではないだろうか。この価格帯は食事つきの山小屋に一泊する程度の値段なので、そのように割り切れば、さほど抵抗はないと思う。例えば1シーズンで20万人の登山者が5000円ずつ払えば、収入は10億円。毎年これだけの金額が集まれば、トイレの整備はかなり楽になると思う。不満を言う人もいるかも知れないが、そこは世界遺産としての価値を考えて、事情をきちんと説明する。そうすれば、「まあしょうがねえな」と払ってくれると思う。

***
 ということで、奥多摩のトイレ事情を書いたついでに富士山の話に飛んでしまったが、総じて雲取山はいい山だった。奥多摩小屋も面白い小屋で楽しかった。次回は、秋頃、紅葉の頃に行きたい。そのときは今回断念した、飛龍山を回って丹波の温泉に浸かるルートを是非まわりたいと思った。

 下の写真は、下山の途中、後山林道にて。(着ているTシャツと、リュックと、背景の新緑のカラーコーディネートがいいと姉におだてられて1枚撮った)
41.jpg
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Mad Scientist

おひさ。
富士登山に関しては丁度¥7,000という数字が出ていたのは見たかな?
ぴったりだったね。

入山者数制限も考え、導入検討中で、¥500では効果なし、¥20,000では半減するんだとか。

登山口前の、まだ店があるところには「山でのトイレの方法」を、具体的かつ分かりやすく絵で掲示しておく必要があるのかもね。
by Mad Scientist (2013-06-06 21:38) 

ひぐらし

Mad Scientistさん、こんにちは。僕のどんぶり勘定がプロの研究者の試算と一致したのは嬉しいです。まあ僕の根拠としては、一般人の感覚としてちょっと抵抗を感じるくらいがちょうどいいかなと思ったのでした。このくらいの金額になると、ある程度真剣な人でなければ来なくなるでしょうね。ノリで適当に出掛ける人を排除するだけでもだいぶ山の負担が軽くなると思います。
by ひぐらし (2013-06-08 13:22) 

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