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鉄人28号のブリキのおもちゃ [雑文]

 ここに1枚の家族写真がある。アルバムから剥がしたら、裏には昭和40年1月15日という書き込みがあった。昭和40年とは1965年、つまり今年2016年から数えて51年前である。場所は、当時住んでいた家の玄関の前。親父とお袋、親父に抱かれているのが僕(1歳8か月)、そしてお袋の前に姉(3歳2か月)が立っている。両親が結婚したときに仲人をしてくれたSさんという人が正月に遊びに来たときに撮ったものだという。
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 前の記事にも書いたように、最近の僕はレトロ指向が前にも増して一層強くなっていて、僕自身の生い立ちを時代背景と共にいずれ書いてみたいと思っている。ただ今回書きたいのはそれではなく、写真の中で僕が持っているおもちゃの話である。Sさんがおみやげに買って来てくれたのは、当時テレビで人気のあった鉄人28号のブリキのおもちゃだった。

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 残念ながら僕はこのおもちゃで遊んだ記憶がほとんどない (* )。貰ったのが1歳8か月。幼すぎた。おそらくすぐに壊してしまって動かなくなってしまったのでないだろうか。お袋によるとこの家から引っ越したとき(僕が幼稚園生の時)に、壊れて動かなくなっていたから処分したという。

 昨年2015年の暮れ、東京の「中野ブロードウエイ」に行く機会があった。ここは、アニメとかゲームとかトレーディングカードとか、いわゆるサブカルチャーのお店がたくさん集まっている。ブリキのおもちゃに代表されるようなレトロ玩具専門店もあって、そこでこの鉄人28号が、なんと10万円で売られているのを見つけてしまった。「じゅ・じゅ・じゅ・じゅ~まんえん!」

 数千円なら「懐かしい!」と思って衝動買いしそうである。しかし10万円!? そう簡単に手を出せるようなものではない。

 家に帰ってからヤフオクでも調べてみたら、このおもちゃは結構頻繁に出品されていることがわかった。しかも僕が子供の頃(1960年代)に売られていた古いものと、1990年代に復刻された新しいものの2種類がある。古いものは、錆びが出ていたり傷がついていたり、腕や鼻が取れていたりするものもあるが、それでも数万円は下らない。程度のいいものは、古い方、新しい方問わず、中野ブロードウエイで見たように10万円くらいで売れていく。

 このオークションを見続けて、だんだんわかってきた。つまり、これが商品の相場というものなのだ。慣れない人が見て「高い!」と驚くようなものであっても、「その値段で買います」という人がいれば、その値段で売れていく。逆に、その相場を高いと感じている限り、その人はその物を買うことが出来ないのだ。実際に競りに参加して、欲しいものを他人に取られてしまって、初めて相場というものを実感し、心理的なハードルがだんだん下がってきた。

 もう一つ気づいたこと。落札される価格には、ある程度の変動がある。10万円で落札されることもあるが、たまに同じ程度のものが、7万円で落札されることもある。安く買おうと思ったら、この変動を利用するしかない。まだ10万円を出すほどの踏ん切りはつかないが、数万円なら・・・この心境に至るまで4か月かかった。

 ゴールデンウイークの帰省直前、程度のよいもの(復刻品)が●万円で出品されたので、清水の舞台から飛び降りる気持ちで入札した。そしたら奇跡的に僕以外に入札がなく、そのままその値段で落札してしまった。みんな行楽に出かけてしまいPCを見ている人が少なかったのかもしれない。嗚呼・・・とうとう買ってしまった。ちなみに●は公表できないが、この品物の相場を知った後となっては、安い方の金額だと思っている。

 手に取って眺めて動かしてみて、このおもちゃはかなりの高級品だということがわかった。1960年代の当時でも結構高額な部類だったのではないだろうか。おそらく可愛い坊や(=僕)の喜ぶ顔を見たくて、Sさんは奮発してくれたんだな、と今更ながら感謝してしまう。51年前のSさんの気持ちを推して知ることができただけでも、入手した甲斐があった。

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 動いているところの動画を取ったので、興味のある方はご覧あれ。これを1歳8か月の赤ん坊に与えるのはもったいない。



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【おまけ】よくある質問
Q そんなもん買ってどうすんだよ。
A たまに取り出して動かしてニヤニヤ笑っていたいのだ。骨董品を買う最大の目的はこれ、すなわち所有欲を満たすことである。わかるかなあ。わかんねえだろうな。

(* )記憶がほとんどないと書いたが、実はかすかな記憶がある。このおもちゃは、足に電池を入れるようになっているのだが、ある日蓋を開けたら、電池が液漏れを起こしていて、あまりの汚さにショックを受けた。これがお袋のいう、処分した時だったのかも知れない。

【おまけ2】YouTubeでかっこいい動画を見つけた。外国で映画化のプロモーションとして作られたらしいが、映画そのものは企画がつぶれてしまったらしい。この動画がいつまで見られるかわからないが、参考まで。

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