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平家物語を読みたい(4)保元の乱・平治の乱(パート3) [読書]

写真は2005年放送のNHK大河ドラマ「義経」の解説本(NHK大河ドラマストーリー)より、平治の乱のあと、義経を抱き、清盛の前で命乞いをする常盤御前。(女優は稲森いずみ)このあとエロガッパの餌食となる。
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(つづき)(平家物語が始まる前段階の保元の乱、平治の乱について整理中)

 ここまで来て、ようやく保元の乱、平治の乱のあらすじがわかった。というか、ここまで解きほぐさないとわからなかった。では、これだけの内容を高校の日本史の教科書(注1)はどう書いてあるかというと・・・。

(引用ここから)
■「1156年(保元元年)、鳥羽法皇が亡くなると、まもなくかつて皇位継承をめぐって法皇と対立した崇徳上皇が、藤原頼長とむすんで武士を集めた。これに対し、法皇の立場をうけつぐ後白河天皇と近臣藤原道憲(信西)らが、清盛や源義朝らの武士を動員し、上皇方を攻撃してうち破った。これが保元の乱である。」
■「そののち、院政をはじめた後白河上皇の近臣間の対立から1159年(平治元年)には平治の乱がおこった。近臣の一人藤原信頼が源義朝とむすんで兵をあげ、清盛とむすぶ信西を殺して、一時は優勢であったが、かえって清盛に平定されてしまった。」
■「この二つの乱をつうじて、貴族社会内部の争いも武士の実力で解決されることが明らかとなり、武家の棟梁としての清盛の地位と権力は急速に高まった。」
(引用ここまで)

 現実問題として、教科書のこの記述をそのまま理解・記憶しようと思ってもできるわけがない。でも多分、高校時代の中間テストや期末テストの前、僕はこれをそのまま暗記しようとしていたと思う。そもそも理解していないものを記憶できるわけがないし、よしんばできたとしても、試験が終わったらすぐに忘れるに決まっている。それは時間の浪費以外の何者でもない。(僕は日本史で一度赤点を取ったような、赤点でなくてもいつもギリギリだったような記憶がある)

 じゃあ高校時代に僕はどうすべきだったのかと言えば、やっぱり、今回やったように、自分で調べ物をして自力で解きほぐさないといけなかったのだと思う。その際、教科書で学んでいるのだから、教科書の記述と矛盾しないように解きほぐさないといけない。というのは、本によって違うことが書かれていることがあるし、小説やドラマを参考にすると創作が加えられていたり架空の人物が登場したりする。そこは要注意である。(注2)

 今、僕の頭には保元の乱・平治の乱の経緯として(それが学術的に正しいかどうかは別として)少なくとも自分が構築した歴史のプロセスが頭に入っていて、それを説明することができる。「自分の考えを説明すること」と「他人の書いた文を暗記・暗誦すること」を比較すれば、前者の方がはるかに容易かつ有意義である。(注3)

 教科書の作り手の立場としては、「だいたいこんな感じだ。わからなければ各々で研究せよ」という書き方を敢えてしているのではないかと思えてくる。高校で歴史を勉強するとはこういうことなのか、と今更ながら知った。文系に進んだ友人達の顔が何人か浮かんだ。「あいつらきっとこんな勉強してたんだな」と懐かしくなった。

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(注1)井上、笠原、児玉ほか「詳説日本史」山川出版社1986年版 

(注2)「学生がその解きほぐす手間をかけないように、あらかじめ解きほぐした文を教科書にすればよいではないか」という考えは、おそらく駄目だろうと思う。第一に教科書の厚さが5倍くらいになるだろう。第二に学生はそれだけの量を何も考えずに丸暗記しようとし、そしてすぐに忘れるだろう。自分が頭を使わなければ、教科書が薄かろうと厚かろうと同じことになる。

(注3)高校時代の日本史の授業で唯一覚えていること。ある日「神道について調べてレポートを提出せよ」という課題が出た。「めんどくせえからさっさと終わらせよう」と思い、図書室でそういう本を調べてレポートを書いて提出した。ところがあまりにも提出が早かったので、先生から「まだ時間があるからもう少しよく調べなさい」と言われてしまった。「しまった。ぎりぎりに提出すれば良かった」と後悔した。しょうがないから言われた通り、もう少し丁寧に調べたら、その調べ物が実は、新しい発見があって意外に楽しかったのだ。だからこうやって記憶に残っているのだろう。今思えばあの先生は「歴史の勉強ってのはこうやってやるんだよ」ということを教えたかったのかも知れない。


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