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平家物語を読みたい(6)折り返し地点 [読書]

 今年の5月に姉と始めた平家物語の勉強会。姉が今中国にいるので、スカイプの通信を使ってやっている。一回あたりに進むのはテキスト(注1)の15ページくらい。あらかじめ決めた範囲について、僕が予習をしてあらすじをつかんで勉強会の最初にこれを話し、その後、姉が原文(古文)を音読する、という内容で勉強している。

「僕が予習をしてあらすじをつかむ」と書いたが、これはあらかじめ持っている知識にだいぶ差があるからである。そもそも姉は、学生時代に歴史を真面目に勉強した文系人間である。これに対して、僕は理系で、学生時代は社会系の科目は軽視していたし、さして歴史好きというわけでもなかった。こういう本を読もうとすると、歴史の知識がどうしても必要になるので、この機会にちょっとでも勉強しようという趣旨である。

 今、上巻(1巻~6巻)の予習が終わったところ。つまり折り返し地点である。ここでちょっと、振り返りを書いておきたい。

 あらすじをざっと書いてみる。平清盛が政権(朝廷)の中枢に入り込んで、一族でこれを乗っ取る。やりたい放題のことをして人の恨みを買い、反平家の機運が高まる。そして源頼朝や木曽義仲が挙兵。そうした中で清盛が病気で死に、平家打倒の機運はさらに盛り上がってきた・・・と言うところで上巻が終わる。一般によく知られている倶利伽羅落し、一ノ谷の合戦、屋島の合戦、壇ノ浦の合戦なんかはみんな下巻、つまり清盛が死んだあとの話である。

 物語としては実際のところ、清盛を悪役に描きすぎて、一体なんのためにこの人がそれをするのか、わかりにくい面がある。たとえば福原に遷都した理由は、本当は日宋貿易に力を入れるという目的があったらしいが、平家物語では「寺社勢力に何かと干渉されてうるさいから」としか書いていない。でもまあ構図がシンプルなら物語がわかりやすいという面もある。

 感想はというと、細かい不満はあるものの相当に面白い。さすがに1000年も語り継がれている名作である。当時の琵琶法師の語りはもちろん、能や狂言や歌舞伎の舞台でもたくさん上演されてきたそうだし、現代の小説家もこれをベースにした作品を書いている人はかなりいるようだ。これは原典が魅力的だからそうなるのであり、こういう文学作品が古典として残っていることは、日本人として誇りに思ってよいことだと思う。

 それで、単に「面白い」と言っても、平家物語に馴染みの薄い人には、何が面白いのかわからないと思うので、次以降の記事で、上巻で印象的だったエピソードをいくつか紹介したい。(つづく)

***
(注1)小学館の日本古典文学全集「平家物語」。この本は、2冊構成になっていてそれぞれに「一」「二」と番号がふられている。この記事では、「一」を上巻、「二」を下巻と呼ぶことにする。平家物語が巻第一から巻第十二までの構成になっていて紛らわしいので。



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