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数学検定2級受験体験記 [雑文]

 先日10月27日(注1)、数学検定というのを受けてきた。英語検定に比べて、数学検定というのはあまりメジャーではないようで、知らない人も多い。だからちょっと受験体験記を語ってみる。

 一番上の級は1級で、レベルは大学程度と位置づけられている。そこから準1級(高校3年生程度)、2級(高校2年生程度)、準2級(高校1年生程度)と順次水準が下がっていき、この下に中学生程度の級があり、さらに小学生が受ける算数検定というのもある。今回僕が受けたのは、2級(高校2年生程度)である。1次試験として「計算技能検定」というのが60分、2次試験として「数理技能検定」というのが90分ある。

 問題の難易度としては、教科書の章末にのっている基礎問題くらいだと思う。つまり普段から真面目に勉強している現役高校生だったら普通にすらすら解けるような問題ばかりということである。ただ、やっぱり自分が高校生とか受験生だった頃(バリバリに訓練積んでいた頃)に比べれば、久しぶりだったし、普段やらないことになってしまっているので、ものすごいスリルを感じた。こういう慣れないこと、久しぶりなことを逆手にとった楽しみ方ってあるんだなあ、と変な感動をしてしまった。感触としては大体9割ほど取れたので、合格ラインに達した手応えはあった。11月14日、WEBで合格を知った。

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 大学を卒業して会社に就職して、もう30年以上の歳月が流れたが、僕は今でも大学受験の夢を見る。試験の日がどんどん近づいてくるのに、数学の勉強が一向に進まずに焦っている夢である。その夢には高校時代に使っていた数研出版の問題集が必ず出てくる。その問題が全く解けない。そもそも問題の意味がわからない。これはヤバいと焦っているうちに目が覚める。そして自分が受験も大学も全部終わっていることを思い出し、ほっとする。

 自分の深層心理の中に刻み込まれた恐怖感とかストレスとか言ったものが、ときどき疼いてこんな悪夢を見るのかも知れない。さほど深刻なものではないのだが、学校を卒業して30年も経っているのにいまだにこういう夢を見るとなると、逆にだんだん興味が出てきてしまう。自分の心の中に、どんな恐怖心、緊張感があってこんな夢を見させるのだろうか。正体は一体何なのだろう。数学のテストを受けたら、それがわかるかも知れない。今回数学検定を受検した動機は、この謎解きである。

 試験を受けてみて、ひとつわかった。会社に入ってからも技術系の仕事をしていると微積分や線形代数に触れる機会は比較的ある。これは文献を調べているときにそういう記述に出会うからである。ところが、順列、組み合わせのような数え上げの問題とか、整数論なんかは、ほとんど縁がなくなる。しかもこの二つの分野は、学生時代に数学の中でも苦手な分野だったのだ。

 今回の検定のときも、この苦手分野が出題され、考えてはみたものの、ほとんど何も書けなかった。実際に試験会場で答案用紙に向かい、答えを書けずにじっと白紙の答案を睨んだまま、時間がどんどん過ぎていく。この緊張感は、実際に試験を受けてみないとわからない。ものすごいストレスだ。

 なんでまた好き好んでそんなストレスに自分をさらすのか、という人がいるかも知れない。それは遊園地のジェットコースターに乗る人の気持ちを想像すればわかるだろう。人間とは、自分を無用なストレスにさらすことで、逆に快感を得ようとする不思議な生き物なのだと思う。他の生き物だったらこんなことはあり得ない。

 その苦手分野の問題は幸いにして選択問題になっていたので、回答せずに済んだ。結果として、自分の感覚としては9割ほど取れたわけだが、これが選択になっていなかったら、そっくりそのまま白紙になっていたことになる。この苦手分野は自分の弱点であり、無防備な部分であり、ここを攻撃されたら為す術がない。この恐怖感が心理的なストレスになって、あのような悪夢を見るのでないだろうか。

 2級を受けたのだから今後はその先の級も受けたいと漠然と思っているが、そのためには、こういう苦手分野を克服しないといけないと思う。しかし、克服してしまうと、あの悪夢をみることがなくなるかもしれない。そうなると、それはそれで寂しいような気がする。謎が解けた今、そんな変な迷いが生じている。

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(注1) 於:明治大学 生田キャンパス 中央校舎



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