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ロボット大回転レストア(10) [ロボット大回転]

【ギヤボックスの調査】

 電動式のおもちゃの動力に使われている、ごく普通のDCモータは、ゆっくり回るのが苦手で、1秒間になんと100回転以上もの速さ(注1)で回る。これを必要な速さ(遅さ)に減速して取り出すのがギヤボックスである。おもちゃの動力を生み出すところで、これが故障すれば動かなくなる。いわゆる心臓部である。

 ここに手を入れるというのは心臓の手術みたいなもので、失敗は許されない。いや正確に言うと、所詮は機械なのだから失敗したらその部品をまた作ればいいのだが、ここはほぼ金属製になっているので、「また作る」にもお金がかかる。失敗したくないのである。

 ということで、事前にジャンク品を解剖して、内部構造を調べることにした。その結果わかったのは、「ほぼ金属製のギヤボックスの中で、モータに近い側の3つの歯車だけがプラスチック製で、経年劣化で割れやすい構造になっている」ということである。大きな力のかからないところを、コストダウンのためにプラスチックにしたということなのだろう。

 3つのプラスチック歯車について、もう少し詳しく書くと、
・第1歯車・・・モータの主軸についている9歯のピニオンギヤ
・第2歯車・・・第1歯車に噛み合う54歯のスパーギヤ
・第3歯車・・・第2歯車と同じ軸についている10歯のピニオンギヤ

 余談だが、僕が小学性のときに持っていた「第一世代の1号」は、この第1歯車が割れて、修理をあきらめたのだった。(注2) これがたしか小学校の高学年の頃だったような気がする。つまりこの歯車の寿命は数年だったことになる。「数年」という寿命が、「玩具」という製品に対して計画的に設計されたものだったとしたら、それは大したものだと思う。

第1歯車。割れている。
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第2歯車。54歯がメインだが、一緒に成型されている10歯の部分(使用されていない部分)が割れている。ただし直径が大きい側が丈夫にできていて、シャフトとの噛み合いは確保されている。つまり割れてはいるが悪影響はない。
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第3歯車。電源スイッチを外して中を見ると、内部に10歯がついていることがわかる。これも割れている。
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(注1)最新のマブチRE-260RAモータの箱には、適正電圧3Vを掛けたとき、適正負荷で、7500rpm(1分で7500回転=1秒で125回転)と書かれている。

(注2)参考記事 「ロボット大回転(1)」 (2016年12月の記事)
http://shonankit.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25


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ロボット大回転レストア(9) [ロボット大回転]

【足の補修2】

 前の記事で補修した足の形のプラスチック部品の上側には、金属のリンクと結合するための穴がある。この穴は、単純にプラスチックの板に穴を開けた形ではなく、特殊な形になっている。言葉で説明するよりも、写真を見せた方が速いので、とりあえず、下の写真を見ていただきたい。
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 今、金型が上と下に分割される構造になっているとする。上と下が合わさった状態で隙間にプラスチックを注入し、冷えたら、型を上と下に割って製品を取り出す。製品の横に穴を作り込む場合は、型の横から棒を突っ込んだ構造にするのが普通なのだが、これをやると金型が複雑になってコストがあがる。だから上型と下型だけで穴が作れるような工夫がされているのである。

 僕は仕事で、射出成型の部品を設計したことが何回かあるが、このような穴の開け方はやったことがない。賢いやり方だとは思うがデメリットもある。開口したいところと違う部分も肉を削いでしまうため、強度的に不利になるのだ。今回のものはピンの荷重がかかるところの厚さが1ミリに満たない。真正面から見ると、直径2.5ミリの穴が縦方向に伸び、4ミリまで広がってしまっている。分解する前に足がグラグラだった原因はこれだった。これだけ緩みがあると、歩くのに支障がでるだろう。
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 そういうわけでここも補修することにした。肉の必要なところにプラバンを貼って、φ2.5の穴を改めて開けた。
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ロボット大回転レストア(8) [ロボット大回転]

【足の補修1】

 足の補修は、プラスチックの割れた部分をタミヤのプラバンで補う作業になる。あまり多く語るところがないので、写真中心でお見せしたい。(補修作業に夢中になるあまり、途中経過の写真を撮り忘れた部分がある。残念)

 まずは左足。
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 次に右足。
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 両足仕上げ。
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 この作業は工作らしい工作で、非常に楽しかった。出来上がりにも満足。

(表面の研磨や塗装は、最終組み立てのときに行う予定)

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ロボット大回転レストア(7) [ロボット大回転]

【足の取外し】

 ギヤボックスには、足の往復動の支点φ2.5のピンが2本貫通している。またすぐ隣に、往復用のスプリングを引っかける同じサイズのピンが貫通している。この合計3本のピンを抜けば、足が外れる。
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 ちなみに、この足の支点の2本のピンが曲がっていて、脚が人間でいうO脚のように内側に向かって変形していた。これも落下衝撃のせいだと思われるが、変形がごくわずかで、上手く写らないので写真は省略する。ただ人間の目というのは意外に正確に出来ていて、そんなわずかな変形でも、結構区別できたりする。

 ピンの固定には、プッシュナットが使われている。普通のおねじ、めねじを使わないのは、コスト低減のためだろう。プッシュナットはペンチで潰せば簡単に除去することができる。また手元に替えのプッシュナットがなかったので、これもモノタロウで注文した。
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 下は、足を外したところ。
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 さらにバラバラにしたもの。
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 足の中は乾電池のケースになっているが、ここは電極が腐食し、しかも小さなクモの巣が張っていた。どうやら屋外に近い環境(倉庫など)に長期間保管されていたと思われる。あまりに汚かったので敢えて写真を撮らなかったが、洗剤で洗ってすぐにきれいになった。

 さて、ここから足の割れの補修に入る。



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ロボット大回転レストア(6) [ロボット大回転]

【腕の取付け】

 前の記事で、腕の付け根を外すために、圧入リングを削って切断してしまった。壊さなくてもいいところをわざわざ壊したように見えるかも知れないので、腕を外さなければならない理由を書いておく。

1)他の個体から部品を移植するとき
 今回のケースがまさにこれ。四つ穴円盤、風車型板バネが無くなっていたので、他の個体からこれを取り出して移植した。

2)腕にひどい汚れがあるとき
3)腕に損傷があるとき
 いずれも外して、洗浄、修復の作業をする必要がある。

4)ギヤボックスに手を入れるとき
 ギヤが壊れているケースがあり、ここを開こうとすると腕がかなり邪魔になる。今回はこの理由もある。(後の記事で説明)

 さて、そうすると、今度は「これを再び組むにはどうすればよいか」という話になるわけだが、それには下のような「補助リング」を作って、圧入リングの外側に取り付けて芋ねじで締め付ける方法をとることにした。(注1)
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 下の写真は取りつけた状態。これで両腕がつながった。
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***
(注1)「補助リング」は、なじみの機械加工屋さんに頼んで、アルミで削りだしてもらった。最初、圧入リングそのものを複製することも考えたが、形状が完全な円断面ではないためコスト的に不利。それより新しい部品を一つ追加した方がよい。肩カバーの内側には、幸いにして十分な空間があって、補助リングを入れても問題はなかった。


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ロボット大回転レストア(5) [ロボット大回転]

【腕の取り外し】

 このロボットは転んだときに腕の力で起き上がるようになっている。それだけに腕の付け根の回転軸は最も力のかかる部分で、かなり頑丈に作られている。中古品を買っても、この部分が壊れているモノは少ない。だからここが壊れているモノに出会ったら、それは本当に重傷だと言ってよい。今回のモノは右腕が外れていた。

 実は今回のものには前のオーナーが修理した痕跡があって、右腕は外れた部分を接着してあった。だからまず手始めに、修理の痕跡を無くし、ノーマルに壊れた状態に戻すことからスタートした。(ただしそこまでのプロセスはここでは省略)

 まず肩のカバーを外す。このカバーはフックで引っかかる構造になっている。写真に示す部分を強く押すと、フックが外れて、カバーを外すことができる。
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 肩カバーを外すと、メインシャフトの固定構造が見える。銅の棒の両端に、アルミのリング(以下、圧入リングと呼ぶ)を圧入してある。(いかにも頑丈そうで、普通はこれ以上分解しようという気にはならない)
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 圧入リングをルーターで切断するとカシメの力が緩くなる。
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 緩くなったところで、これを抜き取ると、固定構造が見えるようになる。銅のメインシャフトの一部を叩いて傷をつけ、軸方向に凹凸を作り、ここに圧入リングを圧入して角度を固定するようになっている。この固定は摩擦力によるものだから、一旦分解したら、再び組んでも初期の摩擦力(保持力)は期待できない。「分解したら二度と組めない部分」ということになる。(組むための対策は後の記事で説明する予定)
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 ここには過大トルク保護機構がついている。円盤に4つの穴が開いていて、それに重なる風車形の板バネの同じ位置に突起が作ってある。通常運転では、突起が穴にはまり込んで回転を伝える。過大なトルクがかかったときは、板バネが跳ね上がって突起が穴から外れ、トルクがギヤボックスに伝わらないようになっている。こういうものをつけておかないと、すぐに壊れる玩具になってしまう。当時のトミーの開発陣が苦心した部分だと思う。
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ロボット大回転レストア(4) [ロボット大回転]

【腕の伸縮カム】

 ロボット大回転は、起き上がり機能のために腕が常時回転しており、回転と同時に腕の長さが伸びたり縮んだりする。床を確実に押すために立ち上がる直前でもっとも伸び、完全に起き上がったときは、短くなって床を擦らないようになっている。

 仕掛けを簡単に説明してみると、腕の付け根のボディ側にカムが作ってあり、腕の方にはカムフォロワーの突起がある。腕の回転に従って、突起がカムの内周をトレースして、腕が伸縮する。
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 今回のモノは、ボディ側のカムの一か所に欠けがあった。この欠けがあると機能が完全に死んでしまうので、修理は必須である。
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 ところで、そもそも、なぜこんな所が割れるのか、原因をつらつら想像してみるに、
1)腕が真上に上がったとき、突起がこの割れた位置に来る
2)そのとき、子供が、モノをテーブルの上から床に落とし、
3)しかもそのときの姿勢がたまたま真っ逆さまで、
4)腕が最初に床に着いて、
5)カムフォロワーの突起がこの割れた位置を強く押して割れる。
このストーリーで、まず間違いはないだろう。

 修理には、タミヤのプラバン(厚さ2㎜)を使った。ここから小片を切り出して、形を整える。
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 それから、修理部位に瞬間接着剤で貼り付ける。仮止めには、練ゴムを使う。
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 接着剤が固まったら、ルーターで整形して、出来上がり。
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 ところで、カムにこのような修復をしたときに、強度的に問題はないのか、という疑問が当然わくが、これはたぶん大丈夫だと思う。上に書いたように、ここが割れた原因は十中八九、落下事故である。同じ事故が起こったら、また同じように壊れることは考えられるが、床に落とせば、どこがぶつかっても壊れてしまう。「そもそも床に落とすな」ということである。

 では普通の使用状態についてはどうかというと、これは心配無用である。瞬間接着剤が硬化して、母材のプラスチックと癒着したところは、母材と同じくらいの強度を持つことが経験上わかっている。



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ロボット大回転レストア(3) [ロボット大回転]

【ボディのはめ合わせピン】

 プラスチックの部品によくあることだが、二つの部品を組み合わせるとき、片方にピン、もう片方にピンの入る穴が作ってあって、ピンを穴に差し込むように組み合わせることによって、正確な組み合わせが簡単にできるようになっている。ロボット大回転のボディにも、このピンと穴の組み合わせがある。

 今回修理しているモノは、ピンと穴がそれぞれ7か所に作られているが、そのうち、4か所で、ピンが折れていた。相当乱暴に扱われたことを物語っている。(注1)これがないと組み合わせがうまくいかないので、修理することにした。折れたところに穴を開けて、市販のピンを立てる。
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 モノタロウで、直径2㎜、長さ4㎜のステンレスピンを入手した。
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 ボディに穴を明ける。
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 ピンを差し込んで、瞬間接着剤で固定する。
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 4か所にピンを立てたボディ。
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(注1)
 乱暴に扱われたとは、例えば、床に落とした場合。ボディは前と後の2分割だから、前側が床に激突した場合は、前側だけが変形し後側が変形しない、というような状況がおこる。そうするとピンに剪断力が働いて破断する。穴の中にピンの残骸が残っていることが、この状況を物語っている。


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ロボット大回転レストア(2) [ロボット大回転]

【ボディ固定用ねじ】

 ボディを開くため、背中側からプラスドライバを挿入し、固定ねじを4本すべて取り外す。
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 腕の付け根の部分とボディは、ちょっとしたはめ合いがある。そこで、ボディのプラスチックの弾力を利用して、矢印の部分をちょっと押すと、このはめ合いが外れ易くなる。
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 ボディが開き、中のギヤボックスが露出する。
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【おねじのトラブル】
 ねじを4本外したら、そのうちの1本が、明らかに他の3本と異なっていた。前のオーナーがおそらく修理のときにねじを紛失し、ありあわせの木ねじをねじ込んだらしい。だから新しいねじをモノタロウで注文した。セルフタッピングねじというもので、木ねじによく似た形状をしているが、通常、食い込ませる相手は板金を想定したものである。(詳細は専門サイトを参照)
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【めねじのトラブル】
 セルフタッピングねじの相手のめねじは、おねじを食い付かせることで形成される(その意味では木ねじと同じ)。今回修理するものでは、4つあるおねじのうちの1つが、上述したように、太い木ねじになっており、これを無理やりねじ込んだせいでめねじがバカになり、正しいおねじが食い付かなくなっていた。

 これを修理するための方法をいろいろ考えたが、結局瞬間接着剤で肉盛りをすることにした。瞬間接着剤をめねじの穴に垂らし、硬化する前にティッシュで作った ”こより” で余計な接着剤を吸い取ると、穴の内壁に瞬間接着剤の肉盛りができる。
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 硬化後におねじを入れ、食い付きが回復していることを確認した。
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ロボット大回転レストア(1) [ロボット大回転]

【最初の状態】

 2016年12月にロボット大回転のコレクションの記事を書いた。あの後もコレクションは続けていて、現在全部で16体になっている。新品同様で元気に動くものもあるし、故障して動けないものもある。新品同様のものはそれなりに価値があるが、壊れているものだって、それを修理する楽しみがある。というわけで、このたび修理に着手することにした。

 16体のコレクションのうち、何らかの修理の必要なものは半数以上に及ぶが、今回のテーマとしては、その中で最も程度の重いものを取り上げる。

 修理するのは第一世代の「3号」で、実はこれと同じ種類のものの動画を下記URLで紹介しているが、今回の対象はこれとは別の個体である。
http://shonankit.blog.so-net.ne.jp/2016-12-25-2

 今回のものは、この元気なものとは違って重症、というか、ほぼ死んでいる。どこが故障しているかをここで逐一紹介していると長くなるので、それはこれから、テーマごとに一つ一つ書いていくが、今回はひとまず外観だけお見せする。

 まず、右腕が外れている。
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 頭のアンテナ状の突起(ツノのようなデザイン)が両方完全に折れている。
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 足の重要部分が欠けている。
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 他にも細かい問題をたくさん抱えている。それをこれから少しずつ修理して行こうというのが、今回の趣旨である。このおもちゃを収集している人は、もう今の世の中にはたくさんはいないと思うけれども、そもそもレストア作業というのが楽しいものだし、もしかしたら他に応用の利くノウハウがあるかも知れない。ほんの少しでも人の役に立つことを、密かに期待している。





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